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る「それじゃあ、行きましょうか。」
そう言い、るぅとくんは迷いなく廊下を歩き、エレベーターに乗り、ロビーを出た。
ん?どこへゆくの??となりつつも、まぁるぅとくんが変な所連れてくことはないか。と思考を放棄する。
ただでさえ、体調が悪いんだ。これ以上頭使ったら悪化するわ。
身長差は15cm近くあるはずのに、るぅとくんが歩幅を合わせてくれるからか、そんなに早く感じない。
そのさり気ない気遣い、ボーテ100点。惚れるわ。あ、もう惚れてた。
2人分の足音が、ザッザッと軽快な音に変わる。
『ここって……』
金網フェンスにかかる南京錠を開け、るぅとくんが振り返る。
るぅとくんの髪1本1本が月のように輝き、潮風でふわっと広がった。
それを見て、今日は新月だったことを思い出す。
どうりで、いつもより暗いはずだ。
る「そう、ホテルのプライベートビーチです。
ちゃんと葉月さんには許可もらってるから、安心してね。」
『わぁ、すっごい計画性。』
カチャリ、と年季の入った鍵を掲げて、天使の微笑みを浮かべないで。
私、天国行っちゃうから。あ、もしかしてお迎えかな??
さぁ、どうぞ。と私の手を取り、空いている手で金網の扉を開けるるぅとくんは、英国紳士かと思うレベルにスマートでかっこいい。
エスコートが手馴れてる。これだけで論文書けそう。
2学期に、「自分の好きなもの紹介」の作文があるらしいから、るぅとくん書こうかな。
『わぁ!』
るぅとくんを見つめていた視線を奥にやると、そこには、濃紺の夜空を鏡のように反射させる海が広がっていた。
月がないからか、星は普段よりも明るく、綺麗に見える。
テレビでしか見た事ないような、満天の星空だ。
靴に砂が入ることも気にせず、海の方に駆け出す。
潮の香りが鼻をかすめ、心地よい波打つ音が耳をくすぐる。
るぅとくんははしゃぐ私を見つめ、扉を閉めてからゆっくりとした足取りで私を追いかける。
る「よかったら、夜の海の散歩しない?」
『する!』
靴をポイポイッと脱ぎ、手で持つ。
流石に砂の入った靴で歩くのは、流石の私でも気が引ける。
る「喜んでもらえましたか?」
『うん、とっても!
私、星空見るのめっちゃ好きなの!
家の近くに人気のない公園があってね?たまーにそこで、星空見たりするの。
流石にここまで綺麗じゃないけど、見てると嫌なこととかも全部消えてく気がして。』
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たこ天(プロフ) - 泡糖さん» コメント、ありがとうございます!ずっと探していただいていたなんて……(⑉・ ・⑉)今後も変わらず、スキスキの行き過ぎた夢主ちゃんをお届けできるよう、更新頑張っていきますね😊 (2022年7月11日 23時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
たこ天(プロフ) - 冬さん» コメント、ありがとうございます!もうすぐ続編ですが、そちらもなるべくこのペースを維持して投稿出来たらと思っているので、楽しみにしていてください😌✨ (2022年7月11日 23時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - この作品、過去に見つけてずっと探していました!久しぶりに見ても いい意味で変わってなくて好きです!どうして高評価が一つしか押せないんだ…!尊いボタンみたいなものが欲しかった!無理のないように更新頑張ってください! (2022年7月11日 22時) (レス) @page4 id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)
冬(プロフ) - いつも、この作品の更新楽しみに毎日過ごしています!これからも更新頑張ってください。応援しています! (2022年7月11日 21時) (レス) id: 1fb06db6d9 (このIDを非表示/違反報告)
たこ天(プロフ) - りまおさん» こちらでもコメントしていただき、ありがとうございます!続編も更新頑張りますね💪 (2022年5月15日 8時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
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