検索窓
今日:11 hit、昨日:12 hit、合計:11,437 hit

6日目 夕方 ページ30

る「失礼しまーす」




コソコソ声でそう言い、今日の仕事を終えた僕は救護室に入る。



中を見渡すと、保健室にあるような、白のシンプルなベッドがいくつか、カーテンレールを挟んで並んでいる。

その中で、1番奥のカーテンだけが閉まってる。


あ、ここかな。





る「Aちゃーん?起きてますか〜?」





万が一、僕の声で起こしちゃったら申し訳ないなら、できるだけ小さな声で問いかける。

が、カーテンの中から返事は帰ってこない。



うーん、これって入ってもいいのかな。

まぁいっか。



シャッとカーテンを開けると、救護室に運ばれた時と比べ、赤みが抜け、穏やかな表情で寝ているAちゃんがいた。



よかった、倒れた時は、ほんとにビビったんだから。


近くにあった椅子を引き寄せ、ベッドの横に座る。





今日の昼、バイトで焼きそば焼いてたら、急にころちゃんが呼びに来て。



「るぅとくん、やばい!Aがトラブルに巻き込まれてる!」なんて言い出すから、本っ当に心配した。



ころちゃんの後について行き、野次馬の間をすり抜けて行った、僕の目に飛び込んできたのは。


警備員に連れてかれるおじさんを見つめながら、ゆっくりと倒れるAちゃん。



ヤバい、と思うよりも早く僕の体は動きだし、灼熱の砂浜の上に倒れる寸前で、なんとかAちゃんを受け止めたのだ。



その時のAちゃんは、顔は真っ赤で手足が少し震えていた。


多分、熱中症と殴られた恐怖が、同時にきたんじゃないかな。


僕はそのままAちゃんをお姫様抱っこし、この救護室に運び込んだってわけだ。


本当はずっとAちゃん傍にいたかったんだけど、流石にアルバイトを抜けることは出来ず、こうしてバイトが終わった直後に、直行した。




クーラーで表面だけ冷えたAちゃんの頬を、そうっと撫でる。


Aちゃんはそれに反応することなく、気持ちよさそうに眠ったままだ。




危機感、ないなぁ。こんなんだから、僕みたいな奴に好かれちゃうんだよ。



ふふっと、自虐的な笑みを零す。





「大好きだよ、Aちゃん。」





いつも元気なところも、ちょっと危なっかしいところも。


僕のことが大好きなのに、きっと僕が告白したら断るところも。






あーあ。


早く、僕のものにならないかなぁ。




そんな願望と欲に満ち溢れた言葉は、クーラーの音ですぐにかき消された。

6日目 深夜→←▼



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
設定タグ:stxxx , , 両片想い
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たこ天(プロフ) - 泡糖さん» コメント、ありがとうございます!ずっと探していただいていたなんて……(⑉・ ・⑉)今後も変わらず、スキスキの行き過ぎた夢主ちゃんをお届けできるよう、更新頑張っていきますね😊 (2022年7月11日 23時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
たこ天(プロフ) - 冬さん» コメント、ありがとうございます!もうすぐ続編ですが、そちらもなるべくこのペースを維持して投稿出来たらと思っているので、楽しみにしていてください😌✨ (2022年7月11日 23時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - この作品、過去に見つけてずっと探していました!久しぶりに見ても いい意味で変わってなくて好きです!どうして高評価が一つしか押せないんだ…!尊いボタンみたいなものが欲しかった!無理のないように更新頑張ってください! (2022年7月11日 22時) (レス) @page4 id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いつも、この作品の更新楽しみに毎日過ごしています!これからも更新頑張ってください。応援しています! (2022年7月11日 21時) (レス) id: 1fb06db6d9 (このIDを非表示/違反報告)
たこ天(プロフ) - りまおさん» こちらでもコメントしていただき、ありがとうございます!続編も更新頑張りますね💪 (2022年5月15日 8時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たこ天 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年5月14日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。