▼ ページ29
｢聞いてんのかよ、おい！｣
どうしたもんか、悩んでいる私に痺れを切らしたのか、おっさんはまた怒鳴る。
も〜、そんなに大きい声出したら、喉かれるよ？
そんな怒って、カルシウム不足なんじゃないの？
おっさんの大きな声につられたのか、だんだんと周りに人が増えてくる。
あ、これはマズイな。
『とりあえずお客様。一旦本部の方に向かいましょうか。
落ち着いて、お話しましょう。』
｢あ”ぁん？？そう言ってお前、俺のこと捕まえん気だろ！！｣
『いえ、ただのご提案です。このままでは、周りの方の迷惑になりますので。』
悪いことした自覚あんのかよ！
うっせぇ、クソジジイ！黙って着いてこいよ、こんにゃろう。
私の後ろで大人しくしてるロリショタ見習え！
なんて暴言は偉いので心の中で留めておいて、にこやかな表情のまま、受け答えをする。
それが気に食わないのか、おっさんはちっさい目をつり上げる。
｢うるっせぇんだよ、お前！
お前もどうせ、俺のことバカにしてんだろ！｣
どこをどう見たらそうなるんだ、馬鹿野郎。
脳みそ耳垢サイズかよ。
怒りでさらに赤くなった頭をフラフラと動かしながら、おっさんが近づいてくる。
｢こんのアマが！舐め腐りやがって！｣
あ、殴られる。
反射的にそう気づいた私は、こっそりほくそ笑み、妙に冷めた頭でこう思った。
ラッキー。
おっさんは右手を大きく振りかぶり、私の左頬を思いっきりぶん殴る。
それに合わせ私は首を振って、ギリ当たって音が鳴るぐらいに調節する。
バチン、と狙い通りいい音がなり野次馬から悲鳴があがる。
そのまま私はおっさんの右腕を、一旦自分の方に引き、すぐに押し戻す。
元々酔っていたこともあり、おっさんは簡単にバランスを崩し、右足が浮く。
軸足のアキレス腱をめがけ、自分の右足をかけ、おっさんを押し倒すように、腕を奥に押す。
ドンッとおっさんの背中が砂浜につき、わっと野次馬たちが歓声をあげる。
おっさんはポカンとアホ面を晒した数秒後、ようやく状況を理解したのかぐわっと口を開く。
｢おい、暴行罪だぞ！これ！｣
『正当防衛ですよ。』
｢はい、こっちでお話聞くので着いてきてくださいね〜｣
結局最後まで反省しないおっさんは、警備員さんに連れられ本部に向かった。
あぁ、よかった。一件落着。
私はほっと息をつき。
.
そしてそのまま、ぶっ倒れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たこ天(プロフ) - 泡糖さん» コメント、ありがとうございます！ずっと探していただいていたなんて……(⑉･ ･⑉)今後も変わらず、スキスキの行き過ぎた夢主ちゃんをお届けできるよう、更新頑張っていきますね😊 (2022年7月11日 23時) (
レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
たこ天(プロフ) - 冬さん» コメント、ありがとうございます！もうすぐ続編ですが、そちらもなるべくこのペースを維持して投稿出来たらと思っているので、楽しみにしていてください😌✨ (2022年7月11日 23時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - この作品、過去に見つけてずっと探していました！久しぶりに見ても いい意味で変わってなくて好きです！どうして高評価が一つしか押せないんだ…！尊いボタンみたいなものが欲しかった！無理のないように更新頑張ってください！ (2022年7月11日 22時) (レス) @page4 id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)
冬(プロフ) - いつも、この作品の更新楽しみに毎日過ごしています！これからも更新頑張ってください。応援しています！ (2022年7月11日 21時) (レス) id: 1fb06db6d9 (このIDを非表示/違反報告)
たこ天(プロフ) - りまおさん» こちらでもコメントしていただき、ありがとうございます！続編も更新頑張りますね💪 (2022年5月15日 8時) (レス) id: 033e158aaf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
