幸 ページ48
この1年、あっという間だった
表彰状を一人一人渡す所を見る
獪岳が表彰状を受け取り、台を降りる時、俺の方を見た
そして、にっこりと笑った
｢うぅ…｣
煉｢轟針が泣くとは珍しい！｣
冨｢轟針はドライアイだからな、滅多に泣かないだろう｣
宇｢あんま余計なこと言うなお前｣
卒業の歌が流れる中、俺の生徒は無事に卒業できた
ーーー
獪｢師範、今までありがとうございました｣
｢あ、ああ｣
目を逸らし、応答する
もしかして泣き顔を見られたと思うと、途端に恥ずかしくなった
獪｢見ましたよ、泣き顔､｣
ずいっと俺の耳元で獪岳はそう言う
｢うる…さい…｣
獪｢ふふ、学校生活で最後だったので、意地悪してみました｣
｢その事なんだが…｣
俺は逸らした視線を獪岳の目に戻し、こう言った
｢来年からひとり暮らしを始める…だから…その…同棲…しないか？｣
ずっとこれを言いたかった
何がなんでも、俺はこの学園で教師をしなくてはならない
だけど、獪岳とずっと一緒にいたいから、この決断をした
獪｢はい！喜んで！｣
そう言った途端、獪岳は俺に抱きついた
ああ…幸せだ
ーーー
父｢準備は出来たか？｣
｢はい、とりあえず荷物はまとめて引越しの方に頼みました｣
父｢ああそうだ、そういえばこれ｣
そう言って父は俺に小さい鍵を渡した
父｢屋根裏にある木箱を開けてみなさい｣
そういえばそんなのあったな…
俺は返事をし、自分の部屋に向かった
ーーー
木箱をリビングまで持ってくる
目の前には父がいた
鍵を鍵穴に入れて、回す
｢これは…｣
俺が鬼狩りだった頃の鍔が入っていた
ただ、俺のではない鍔も入っていた
獪岳のだ
父｢多分お前のだ…ここの家は元々分家だったのが、本家になった家らしい…
埋めてあったのを見つけた…持っていきなさい｣
｢…はい｣
父｢そういえば…2つあるな…愛人のか？｣
｢そうです…もしあの時、黒死牟に、やられていなければ…柱になれたでしょう｣
ギュッと鍔を握りしめ、慎重に木箱に戻した
ーーー
｢獪岳、大学はどうだ？｣
玄関で見送りをしながら、弁当を渡す
獪｢はい、順調です｣
｢ふふ､､､そうか｣
獪｢じゃあ、行ってきます｣
獪岳は俺に向かってキスした
ああ、幸せだ
どんなに辛い過去でも変える事はできない
未来が必ず幸せとは限らない
もしかしたら明日死ぬかもしれない
だから、今ある幸せを大切にしようと思う
【おわり】
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きゅうり(プロフ) - ゆうきさんコメント有難うございます！まさか前作から見ていた方が完結まで読んで下さったのですか！とても嬉しいです！これからも頑張ります！ι(｀･-･´)/ (2020年6月11日 18時) (
レス) id: 72f03521a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 完結おめでとうございます、 前作から愛読していた為完結して涙が出てきちゃいました、w 前作の連載開始した頃はまだ獪岳の小説が全然なかったのですごく嬉しかった思い出があります。最高の作品をありがとうございました。 これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 18時) (レス) id: 869cc0f237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カスパロフ | 作成日時：2020年5月4日 21時
