【ヒロアカ】普通科の問題児Ⅱ【男主】 (ページ8)

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伝えたい言葉ページ8

「その、いままでごめん。すごく迷惑かけた。溢は悪くないのに、溢にばかりあたって、溢を傷つけた。」

『そんなことは！ぁ、えっと、そんなことはありません。彰人さまの側でいられるだけで…は、彰人様、早まってはいけませんよ！？』

「え！？いや死ぬわけじゃないよ！？」

『ほ、本当ですか？』

「本当。本当。それで、もう一つ伝えたいのが、ありがとうなんだ。」

『…』

電話越しの彼が言葉を詰まらせた。どんな表情をしているんだろう。
どんな、

「今、住んでたところ解約されて、住む場所なくてさ、先生と一緒に住んでるんだ。すっごく良い人。
それで、溢がいつもしていてくれたことは、こんなにあたりまえで、こんなにも素敵なことだったんだって、気付けたんだ。僕が帰る度におかえりって言ってくれた。それがどれだけ心の支えになっていたかが、1人暮らしでわかった。
先生と住んで、それがどれだけ大事なことかを知った。だから、溢、すごく感謝してるんだ。」

長く、言葉を探しながら紡いだ稚拙な言葉。
ただ言いたいんだ。

「ただ伝えたいんだ。一方的なモノだけど、今までごめん。そしてありがとう。僕は溢のおかげで、ヒーローを目指したいと思えたんだ。」

『…』

電話の先ではどんな表情をしているだろう。

怒っているかな。一方的な稚拙ななげかけで。

笑っているかな。今までの行いに見合わぬ謝罪に呆れて。

『私の方こそ、伝えたいことがあります。』

ふと、そう告げた。

公衆電話に十円玉を入れながら、返答に恐れ小さく返事をした。

『彰人は良い人です。』

ただその一言を真剣な声音で言っていた。

『彰人は強い人です。そして弱い人だ。優しいからこそ、すぐに心を打ちのめされてしまう。その逃げ場が私だったんです。』

そうだ。僕は何度も溢に怒り散らした。

『弱音も、本音も、愚痴も、すべて話してくれました。時には怒りながら、叫びながら、時には泣きながら。それがとても愛おしいモノでした。』

溢にばかりあたっていただけなのに。