【ヒロアカ】普通科の問題児Ⅱ【男主】 (ページ7)

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電話Box ページ7

画面の中でヒーローがヒロインとキスをした。
ヒーローはたくさんの民衆に囲まれて、感謝を述べられていた。
そこに敵はでてこない。
これで世界はハッピーエンド。

―彰人は成長しています!優しく、たくましく!それを、これからも見守らせてください!!―

溢は、僕にとってのヒーローなんだ。
ヒーローである溢に感化されて、改心したヴィランだ。

僕は、溢に会って、謝りたい。
謝って、ありがとうと伝えたい。

こらえていた涙が頬を走った。
駆け足で、重力に従い滑り落ちて行く。

それを隠すように、僕は立ち上がる。
「寝るね。」
「お、歯磨き忘れんなよ～」
「うん。」

それから数日後、案外あっさり見つかったと、職員室で言われた。

「これ、連絡先な。水嵩さんの。」
「…ありがとう。」

放課後、かけることにした。

だが、心の準備がまだできていない。

今日も放課後はセメントスと個性強化をしたが、

「集中できていないならやめといた方がいいよ。」

と言われ、中断された。

トボトボと校舎を出る。
プレゼントマイクは仕事でいないので、久々に電車で帰宅。

「…やっぱ、かけよう。」

学校から出てすぐの道に公衆電話があったので、その電話ボックスに入る。

「なんて、かけよう。いきなり、この時間にかけても大丈夫かな。さすがに携帯でかけるのは、ねぇ。」

悶々と考えながら小銭をあさる。

十円玉をできる限り探して、百円玉も拾いながら財布を仕舞う。

決心着いたように受話器を持ち上げ、百円を投入する。

紙に書かれた番号にを入力する。

発信音が嫌に頭に響いた。

とても長く感じる時間はあっという間で、すぐに何かが切れたような音がした。

『はい。水嵩です。』
「あっ、い、溢…？」

電話越しでは自信がなかった。

『…どちら様ですか？』

そうか、名乗るのか。
ﾊｯとしてどもる声がだんだん惨めに思えてきた。

「えっと、湯上です。湯上彰人…」
『彰人さま！？』
「さ、さまなんてやめてくれ。もう、あの家からも捨てられたんだ…」
『いきなり電話でなんて、あぁ、なんてお伝えしたらいいか。』
「そ、その、言いたいことがあって、僕が一方的に伝えたいこと。」
『彰人さまが…？』

決心したじゃないか。決めたじゃないか。

言葉にしろ。口に出せ!

頭の中でたくさんの言葉が溢れかえる。