【ヒロアカ】普通科の問題児Ⅱ【男主】 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:38,588 hit

映画ページ6

『ちなみにジュースとかは飲んだことアリマスカ。』
「あるよ？自販機に売ってるじゃん。」
『こういうのは！？』
1.5リットルタイプのペットボトルを出してくる。

「あるよ。1人暮らし始めてから、水とかそういうので買ってる。非常食用とか。」
『ジュースだよ！炭酸とか。』
「…それはさすがに飲み切れないよ。」
『よし買うか！』
「はやっ。」

レジで並んでいると、こちらのレジ空いてますよと声をかけられた。
そちらはセルフレジ。

『湯上やったことあるか？』
「ないかな。」
『やるか！こういうの憧れないか？！』
「さぁ？」

自分で商品のバーコードを機械に読み込ませる行為は、そこまで悪くはなかった。
帰りの車で、彼は満足げに尋ねてきた。
『どうだった。』
「どうって？」
『家族でスーパー！ファミリーショッピング！』
「ファミリー？ショッピングは違くないか…？まぁ、うん。楽しかった。」
『FOOOOOO‼‼』
「あーうるさぁい」

帰宅すると、その言葉は自然と出てきた。

「ただいま。」
『！』
「？何？」
『おかえり湯上ィ!!』
「あっ、」

思わず赤面してしまう。なんだかこっぱずかしい。
「いいからマイクを外してくれぇ。」
そろそろ抱き着かれるのにも慣れてきた。
が、やはりうっとおしい。
何よりうるさい。

食材を片し、夕食を作って食べる。
風呂も済ませた後、リビングでお菓子とジュースを飲み食いしながら映画を見た。
ヒーローが悪を倒し、世界を平和にする話。

「…山田、」
「ん？」
「僕、会いたい人がいるんだ。」
「会いたいひと？」
「家族と、いや、家族のところに居る人。使用人の人なんだけど、その人に、伝えたいことがあるんだ。」
「…」
「学校は、僕の家族とまだ連絡はとれる？」
「…聞いとくよ。その人の名前は？」
「溢。水嵩溢(みずかさいつ)っていう人。」
「家族と連絡はとれるかわからないが、探してみるぜ。」
「…ありがとう。」

彼に会って伝えたい。

謝罪と、感謝を。

僕は彼に苛立ちをぶつけていた。すべてを彼にあたっていた。
彼はそれに反論もせず怒りもせずただじっと諭してくれた。
彼はいつも笑顔だった。微笑んでいた。それが憎たらしかった。
今ではそれが救いだったとわかった。

彼は毎日、挨拶をくれた。

おはよう。おやすみ。いってらっしゃい。おかえりなさい。ありがとう。どういたしまして。

彼は、いつも、それらを、僕に教えてくれた。