【ヒロアカ】普通科の問題児Ⅱ【男主】 (ページ14)

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昨日のお話ページ14

「痛いよぉ!!」

痛みと恐怖に泣きわめいていた。

「お母さんごめんなさい!!」

ただひたすらに謝った記憶がある。

個性が発生したのは五歳の頃。
最初に壊したのは、室内の遊具だった。
ただ目の前に走る赤と緑の螺旋が綺麗で、欲しい一心で摘み取った。
結果バキバキに折れ曲がり崩壊。
一緒に遊んでいた二つ離れた弟は、怪我はしなかったが、大事な遊び道具を破壊されたことに嘆き大号泣。
そして母がやってくる。
僕と弟を抱いた瞬間、母のネックレスが飛散。
驚いた母は僕と弟を突き飛ばした。

弟は遊具の破片で頭を切った。

「何をしているんだ!」

激情した父が刀を持って乱入。
不審者とでも思ったのだろう。

僕はその刀に驚き、怯え、それを破壊した。

父も母も元凶を知った。

父は僕の頭を鷲掴み、床に叩きつけた。

痛みと恐怖にただ泣き叫びながら、ごめんなさい。と叫んだ。

それから家族との食事の回数は減った。
そして僕専属の世話役が雇われ、家族とは完全に隔離された。

「溢です。」
「・・・」

初めて会った時、彼は制服だった。まだ18だという。
幼かった僕は、その意味を理解していなかった。

小学校に入ると、自己紹介の一環として、”個性”披露会というのがあった。
自分の”個性”をイマイチ理解していなかった僕は、ただ《見た物を破壊する》個性と答えた。

もちろん孤立した。

「あいつは敵(ｳﾞｨﾗﾝ)だ。」
「目を合わせると死んじゃうぞ。」

そんな噂が広まったのは個性カウンセリングの先生を骨折させてからだ。

「皆さん、一歩間違えれば人を傷つけてしまう”個性”ではありませんか？たとえば、君はどんな”個性”ですか？」

たまたま当てられてしまったのだ。
「見た物を壊します。」
「そうなんですね。こういう”個性”もヴィラン向きです。」

その言葉が引き金だった。

そこに怒りはなかった。先生の言葉はあくまで例えなのだ。
その言葉の続きは諭す内容だったはずなのだ。

それでも僕は、お前は敵(ｳﾞｨﾗﾝ)だと言われている気がして、
ただ悲しかった。

そして視界にちらつく光を見つめてしまった。

先生の腕は、関節を鳴らしたときと大差ない音で折れた。

僕も含め、教室内は状況がわからなかった。

先生は痛みに悶え教室を去った。

それから、僕は親も呼ばれた。

しかし、来たのは、溢だった。

制服で汗だくだったのをよく覚えている。