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黄side
神ちゃんの言葉が頭で飽和する。
「何がそんな不安なのかは知らんけど怖いこと乗り越えな現状を変えることはできひんよ」
「そう…やんな…」
照史にはああ言ったけど本当はわかってた。もうこの気持ちを隠し通していけるほど平穏な日々では無いことくらい。何か行動を起こさなければいけないことくらい。
でもそうなると…。
「告白かぁ…」
「…告白…?…あぁ」
神ちゃんの妙な反応を無視してしまうほど俺は頭を抱えた。
「うじうじしとったって何も変わらんて」
「でも怖いんよ…」
「この状況が続くんも怖いんやろ?」
「そうやけど…」
少しの押し問答を繰り返して俺は苦笑いを浮かべる。
「神ちゃんは手厳しいなぁ」
「まあ、俺は照史やないからな」
そう照史は優しすぎるのだ。それに甘えていたのは確かに俺だった。
「おれ…照史に頼りすぎやな…」
少し自嘲する。
「ええんちゃう?照史それでも楽しそうやで」
「…楽しそうか?」
「んー、楽しいは語弊かもしれんけど…」
「語弊かい」
そうツッコむと神ちゃんは笑った。
「あはは。やけど大切な人に頼られて嬉しくない人はおらんと思うけどな」
そうやとええな。
「ありがと、神ちゃん」
笑ってそう言うと神ちゃんは立ち上がった。
「その笑顔がほんまもんの笑顔になることを祈っとるよ」
そう言って楽屋に戻って行った神ちゃんの背中を見送った。
相変わらずキザやなぁ。
そう物思いにふけっていると思わぬ声が聞こえてきた。
「淳太!」
俺は咄嗟にその声の方を向く。
「濱ちゃん…!?」
そこには走ってきて息を切らしていた濱ちゃんがいた。
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作者名:年長さん | 作成日時:2022年12月29日 1時