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黄side
あの地獄の日から一週間が経った。あの後全員が気まずいまま撮影を終えた。幸い機材トラブルで押してしまったため個人撮影のみで全体撮影やコンビ撮影は別日になったはいいもののこのままでは良くない。
「もしもし」
だから俺は照史に電話をかけた。
「はーい。どうしたん?淳太くんが電話なんて珍しい」
「分かっとるやろ」
俺がそう言うと照史の笑い声が聞こえた。
「分かっとるよ。俺ん家くる?」
「ええの?」
照史は俺がやって欲しいことを自然と汲み取って嫌な顔ひとつせずに提案してくれる。
「ええよ。来る時連絡してな」
さすが相方やな。
「ありがとう」
その後、外が暗くなり自分の仕事が終わったため照史に連絡を入れてから彼の家に向かった。
「いらっしゃい」
急な押し掛けだったのにも関わらずそう迎え入れてくれる照史には感謝しかない。
「お邪魔します…」
何度が来ているがあまり慣れない照史の家に入る。手洗いをしてからリビングに置いてあるソファに座ると照史がコップを持ってきた。
「はい。ココアでええかな?最近寒いし」
「あ、ありがと。そこまで気回さなくてええのに」
俺が思った通りそう言うと照史は満足そうに笑った。
「俺がしたいからええの」
その言葉に感心する。するとそんな俺を見て羞恥心が芽生えたのか照史は咄嗟に話を変えてきた。
「でさ、相談ってこの前の話やろ?」
「…おん」
俺は素直に返事をすると照史は苦笑いする。
「実際さどこから話聞いてたん?」
気まずそうに聞いてくる照史に思わず俺も気まずくなった。
「えっと…濱ちゃんの友達でしかないってとこやな…」
すると照史はあちゃーといった感じで目頭を抑えた。
何しとるんや?
「あんな、淳太くんが流星と恋人繋ぎしてたんはアイツらから聞き出したから知っとんねん」
「あ、そうなんや」
俺がそう返事をするもまたもや照史は「それから…」と言葉詰まった。俺は疑問を思いながら次の言葉を待つ。
「…やっぱりさ、崇裕とちゃんと話した方がええと思う」
「え?」
突然飛躍したような言葉に俺は聞き返す。すると照史は意を決したように話し出した。
「今さ気まずいの実質、崇裕と淳太くんやん。事の発端はアイツらかもしらんけど」
「…まあ」
「グループの上2人が気まずいんに他のメンバーは元通りって無理やない?」
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作者名:年長さん | 作成日時:2022年12月29日 1時