手品師匠と手品師少年 (ページ27)

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～僕の手品～ twenty six ページ27

ーーー此処は何処だろうーーー？

何も見えない。
いや、見える。
いるんだ、彼が。

「アイビー。」
『私は君の師匠だよ。』

彼が、師匠が。
僕の方を見て笑う。

『〝何時までも一緒〟。これ以上強欲な言葉を私は聞いたことがない。』

何をいっているんだ？なんて、
口が裂けても言えなかった
だって、みるみる内に師匠の姿が
子供になっていくんだから

「アイビーの、子供の頃の姿？」
『何を行ってるのさ。私はもう大人だよ‼』

小さな笑顔で反論する。
僕は何を見ているのだろうか？
〝ベルの安全を確認できたら、私を壊す〟

その言葉の意味を教えてほしいだけなのに。

「アイ・・・いや師匠。君はーーー」
『明日が怖いな。友達がほしいよ。誰か私の名前を呼んで？それだけでいいんだ』
「何を急に‼・・・あっ・・」

言いかけて、気づいた
師匠の目に、涙がたまっていた

『ベル！私は正しかった！？間違ってた！？君にとって私は何だった！？』
「何をっ・・」

子供姿で泣きじゃくる師匠の姿は
何だかとても新鮮だった。

『怖い怖い怖い！』
「え・・・僕は」
『私は、私はただ・・・もう個々にいてはいけない存在だから・・・でも、君が・・・違う・・・何をっ・・』
「あ、アイビー！！！！」

全身を震わせながら僕の腕をつかみ、すべての言葉を捲し立てて話した師匠。
そして、急に奥の方へ走り去っていってしまった。

僕もその後を追い、
やっとのことで師匠の手を掴んだ。

その瞬間、師匠の形がみるみる内に崩れ、
僕の掴んだ師匠の手は、
一つの言葉となって僕に話しかけてきた。

「これは・・・」