手品師匠と手品師少年 (ページ14)

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～僕の手品～ thirteen ページ14

僕は老人をその場に残し、
兎に角まずは広場に行ってみようと歩き出した

[あいつがいないと気分が良い]
【国王様には感謝しないと！】
《この国の団結力が高まったな》
〈あいつにはぴったりの死に様だね〉

広場に着くやいなや、次々と師匠に向けての罵声が飛び交っていた

「まさに死人に口無しだなァ～」

そういいながら、僕は進み続ける
行き先は広場の中央にあるステージ。
僕はそこでマジックショーをやる

天国にいる師匠のために、

串刺し芸を見せるために

しかし次の瞬間、その思いは砕け散った

{そうだ！あいつの持っていた剣で奴の遺体を刺してみよーぜ｝

僕の目の前に立っていた男が冗談交じりに発した言葉で体に電流が走ってしまったのだ。
そして僕はシルクハットからまた剣を取出し男の背中に突き付けた

｛ガっ…｝
≪キャァァァァァぁぁぁぁ！？≫

周りから悲鳴が飛び交う
僕の服は返り血を浴びて赤くなっていった

「(え・・？何やってんだ・・僕。これじゃぁもう・・師匠に見せてあげられないじゃないか・・)」

そう考えて、気づいた
きっとどこかで、師匠をバカにしている奴らに腹が立っていたのだ。
そして、さっきのこいつの言葉で、堪忍袋の緒が切れた
もう・・師匠を馬鹿にされたくない・・その一心で
でもこれで・・師匠に串刺し芸を見せてあげられない

だがすぐに僕は名案を思い付いた
僕は嬉しさのあまり笑い出してしまった

「あっははははははァ～！！そうだそうだよォ～！アイビーを侮辱する奴らを全員串刺しにして殺しちゃえばいいんだ！そしたらアイビーはもう馬鹿にされないしィ～？」

僕は笑顔のまま続けた

「見せてあげられなかった串刺し芸も見せてあげられるからねェ～？」

皆にはその僕の姿が、残虐な殺人鬼のように見えたことだろう

【みんな逃げろーーーー！！】

誰かが叫んだ瞬間、その場にいた全員がまるで蜘蛛の子を散らすように逃げ出した

「あっははは！さぁさぁ喝采を！種も仕掛けもない前代未聞の串刺しショーの始まりだよォ～！」

僕は大声でそういうと、男の背中から剣を抜き、新たな獲物を目指して走り出した