手品師匠と手品師少年 (ページ8)

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～僕の手品～ seven ページ8

僕は朝起きて、ふと気がついた

「あれ・・・涙の跡？」

そう。僕の洋服に寝る前には付いていなかった涙の跡があったのである

「うーん・・まァいっかァ～～！」

どーでもよかったので着替えて練習を始めた←おい

「串刺し芸なァ～～、難しいんだよなァ」

そうぼやきながら剣を取り出していると、大きなバックを持ったガキが走って前を通り過ぎた

「あぁ、学校か。何習ってんだかねェ～」

僕はガキどもを一度チラリと見て、顔を逸らした

昔はよく、学校に通っていた。
まァ学校といっても空き地の様な場所で大人が勉強を教える感じのものだったのだが。
僕は捨て子だったし皆優しくしてくれた。
だが、僕が師匠の弟子になってからというもの、その態度は180度変わった。
まず僕を居ないものとしたし、石をぶつけてきたりもした。
そしてその数日後。僕は学校に行かなくなった

「今になって思えば、あんなクズどもと一緒にいた自分が馬鹿みたいだなァ。」

僕は舌をンベっと出し、気持ちを表現した

「そういえば、師匠は学校行ったことあんのかな。」

ふと思い付いた疑問は、いくら考えても解決しなかった

師匠は僕よりも2歳年上で、身長も僕とさほど変わらなかった。5cmくらい師匠が上かな？
僕が学校に通っていた間は見かけなかったから、いけたとしても数日くらいしかないだろう

「アイビー。アイビーは学校行ったことある？」

僕は結局本人に聞いた

『学校か～。行ったことあるぞ。一回だけ』
「い、一回だけ？」
『うん。その日は楽しみだったなぁ。初めての事ってワクワクするからね！・・・だけど、』
「だけど？」
『納得いかなかったんだ。教えられていることに。内容は相手国との関係だったかな。まるで相手国にすべての責任がある様な事を言っていたんだ。まぁ、ある意味では感心したよ』
「ある意味では？」
『ほら、子供にそんな政治関連のことなんか難しくてわかるわけないだろ？なのにそれを教えている。つまりは、まだ善悪がわからない子供に相手国が悪だと植え付けておくことで、国をまとめあげているんだ。』

ちょっと分かりにくかったねと、師匠は笑った
でも、それで皆が師匠を嫌っている理由がわかった。
この国も悪があると言う人物が出てきては国のまとまりが崩れる恐れがある。
だから仲間から外しておく。あいつは間違っていると言わんばかりに。

『さ、この話はお終いな！練習練習！』

僕はその日、まともに練習ができなかった