夢見てた未来〜THIRD〜

93話 ページ5

『泣かないで。』


そう言いながらララさんの頭をなでる。


…きっと、ずっと抱え込んでいたのだろう。


スモーキー「…どういうことだ？」


軽くにらんでくるスモーキーさん。


…そりゃそうか。


傍から見れば、私がララさんを泣かせているように見える。


…ララさんが大切なら、怒って当然の状況だ…。


『…私達には、共通の知り合いがいるんです。』


…ねぇ、ララさん。


どうして…あなたは私を恨まないの？


…どうして…あなたはそんなにも、優しいの…？


…むしろ悲しくなってくるよ…。


『ララさん。』


ララ「っ…？」


『彼は、いつもあなたのことを私に話してくれました。

…“ララはとてもかわいくて優しくて家族思いなんだよ”って。

…いつも…幸せそうな笑顔で、あなたのことを話してくれたんです。

本当に…とても、幸せそうに。』


ララ「…!!」


『だからお願い。自分を責めないで。

あなた…は…何も、悪くないから。』


…これ以上ここにいたら、感情が爆発しそうだ。


『…それでは、私は帰ります。』


そう言って背中を向ける。


…“演技”を、しないと。


ララ「ハルカちゃん!!」


声を掛けられる。


…振り向かないまま、少し立ち止まる。


ララ「彼はっ…ハルカちゃんのこと、恨んでないから!!」


とても辛そうな声で、そう言う。


ララ「だからっ…!!…“独り”で抱え込まないで…。」


…ありがとう、ララさん。


でも…ね。


それは無理な話だよ。


『はい。』ﾆｺ


私のせいで、彼は“死んだ”。


…私が“傍観者”だったせいで…


…お兄ちゃんは、いなくなってしまったんだから。







⋆

94話　雅貴side→←92話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す