八話 ページ10
「何と、其れは大変だったねぇ。」
受け取った資料を読みながら、林太郎さんは云った。
その横では、エリスちゃんが床にお絵描きをしていた。
「芥川くんの言う通りだ。君はもう少し自分の職業に自覚を持った方がいい。」
『はぁ………』
「我々にとって、君は無くてはならない存在だ。数少ない情報提供者というだけでは無く、友人として。」
何処か胡散臭い笑みを顔に貼り付けて、林太郎さんは微笑む。
「友人」って、ねぇ………?
「情報屋だって、立派な裏社会の職業の一つだよ。気を抜いてはいけない。だから………」
────矢張り、我々と一緒に来ないかい?
一呼吸置いて云った後、林太郎さんは此方に手を差し伸べた。
「ポートマフィアに入っているとなれば、敵もそう簡単に手出しは出来まい。殺しはせずに、情報を管理するだけの構成員として活動する事も可能だ。君は人は殺したく無いのだろう?」
林太郎さんの目が、少し鋭くなる。
矢張り、「殺したくない」という考えは、ポートマフィアの人達には理解し難いものなのかもしれない。
でも、私は─────
『………以前からお断りしている筈です。』
「何故かね? 君の大好きな兄や、友人だっている。君にデメリットは少ないんじゃないかな?」
『……ポートマフィアに入れば、私の名が裏社会で囁かれる可能性もあります。其れなら、こうやってひっそり活動している方がいい。それに─────』
私一人くらい、平和ボケしていたい。
そう云った。
何を考えているのか、林太郎さんは組んだ両手に顎を乗せたまま動かない。
『御免なさい、変な理由で。』
「………否、理由に変も何も無いさ。其れに、自分の意見を主張するのは迚も善い事だ。」
顔を上げた林太郎さんは笑っていて、私は少しほっとする。
部屋を出る時、厳つい黒服さん達に頭を下げられた。
否、それはいいんだけど、彼等が持っている黒光りする鉄の塊。
矢っ張り怖い。
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桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)
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