二十二話 ページ25
「!?」
切れ味の良さそうなナイフに、相手は怯む。
私はその切っ先を相手に向けた儘、云った。
『此処から出して。然して、二度と兄ちゃんに近寄らないで。』
じりじりと近寄る。
「くそっ、凶器を持ってないかちゃんと確認しとけ、と云ったのに………!」
此奴の部下に感謝しなければならない。
お陰で、起点が作れた。
「ぐっ!」
相手は唸って、懐から銃を出した。
『なっ!?』
此奴銃持ってたのかよ!
男は銃を構えた儘、此方に走ってくる。
やば、殺される………!
そう思った私の身体は、無意識に反撃を起こしていた。
数秒後、「がっ」という声が聞こえて、辺りは静まった。
(…………え、何?)
恐る恐る目を開けた私が捉えたもの。
『……………ひっ。』
男の刺殺体だった。
私が手に持っていたナイフは、血で真っ赤に染まっている。
私の着ている白いニットにも、血が飛び散っていた。
───────────私が、殺した?
何かのスイッチが入った。
私はゆらりと立ち上がり、ナイフを捨て、代わりに男の持っていた拳銃を手にした。
男のポケットをまさぐって鍵の束を見つけると、先ずは其の部屋を出る。
部屋の外で待機していた黒服の胸を銃で撃つ。
然して今度は拳銃を捨て、代わりに黒服が持っていたサブマシンガンを手にする。
鍵を使って幾つかの扉を開け、その度に待機していた黒服を撃ち殺していく。
いつの間にか、快楽に変わっていった。
私の口からは、徐々に笑いが零れる。
『………ふふ、ははは。』
外に出ると、もう月が出ていた。
真っ赤な、暁。
月に伸ばした手が、赤く染まっている。
声がした。
私を呼ぶ声が。
「A!!」
大好きな兄ちゃんの声。
私のすぐ近くまで来た兄ちゃんの目が、大きく開かれる。
「手前…………真逆。」
私はそんな兄ちゃんに向かって、笑ってみせた。
何人もの血が飛び散った、その顔で。
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桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)
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