二十一話 ページ24
「……………お兄さん、来ないねぇ?」
嫌味ったらしく、その男は笑う。
私には、睨みつけることしか出来ない。
流石の兄ちゃんも、気付いている筈だ。
でも、これじゃ私が兄ちゃんに頼ってるだけだ。
私一人では、何も出来ない……
せめて、何かないのか?
『…………ねぇ、縄くらい解いてくれないの? 手が痺れてきちゃった。』
「…………別にいいけどさ。」
あ、いいのか。
ダメ元で云ってみたが、案外イケた。
相手は普通に私の手を縛っていた縄を解いてくれた。
「キミが人を殺せない事も調査済みだよ。」
『………だから素直に縄を外したの? 私が何も出来ないと思って。』
「うん。」
うぜぇ。
でも、私が人を殺せないのは事実。
私一人では、何も出来ないのも事実。
だからどうすればいいのか、今必死に考えてんでしょうが!!
見るからに扉は重そうだし、開けるのには結構力と時間を要するだろう。向こうの隙を見てやるにしても、直ぐに捕まる。
あの男は凶器らしい凶器は持っていなさそうだし、奪って反撃する事も出来なさそうだ。若しかしたら異能力者かもしれないし、だとしたらどんな異能を使ってくるか分からない。
…………駄目じゃん!!
そんな時、ポケットに手が当たった。
正確には、ポケットの中に入っている物に。
(…………これ、確か。)
少し前、本部に行く途中に襲撃にあった日の夜。
〔これ持っとけ。〕
〔何これ?……………ナイフ?〕
〔携帯用のサバイバルナイフだ。何かあった時便利だろ。〕
〔…………無人島に流された時とか?〕
〔…………そうじゃなくて。〕
兄ちゃんに貰ったナイフ。
殺しは出来なくても、脅しになら……!
私は、ポケットからバッとナイフを出した。
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桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)
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