十六話 ページ19
『あ。』
マフィア拠点の廊下で、龍くんを見つけた。
今日はいっちゃんはいない様だ。
『やっほー。』
「………僕に気安く話し掛けるな。情報屋の分際で。」
『酷い!』
相も変わらず冷たい反応だ。
龍くんは又、「ゴホ、ゴホ」と咳をする。
健康には気をつけ給え。
「…………情報屋。聞きたい事がある。」
『何? 調べて欲しい事なら、内容によっては数十万………』
「そうでは無い。人の話を聞け。」
怒られた。
私も職業病かもしれない。
「…………貴様、ポートマフィアに入るのか?」
『何で、そんな事聞くの?』
私は内心驚きながらも、何とか冷静さを繕う為に笑う。
一寸気味が悪いかもくらいに。
「首領が貴様を勧誘していると聞いた。」
『龍くんは、私にポートマフィアに入って欲しいの?』
回答はほぼ判っているが、まあ聞いておく。
「僕には関係の無い事だ。口出しはせぬ。」
『意地悪だなぁ。』
然し、と龍くんは私を見つめた。
御免、顔は良いから一寸ドキドキしちゃうわ。
「貴様一人位は、そうやって阿呆気に笑っていれば良い。人を殺すなど、性に合わんだろう。」
…………これがツンデレですね、判ります。
──────────────
────────
───
一方その頃、中也も紅葉に同じ質問をされていた。
「……………紅葉の姐さんは、どう思う?」
「あの子には、幼少期のトラウマが有るじゃろう。あの子の為を思うと、迚もお勧めは出来んのう。」
でものう、と紅葉はそこで言葉を区切る。
「其方もあの子も未だ小さい頃、首領と二人で云うておったのじゃ。」
───────あの子は近い将来、最強の暗殺者になる、と。
「あの子には、才能があったのじゃよ。それも天性の物じゃ。訓練を続けていたら、今頃は其方をも凌ぐ暗殺者になっていたじゃろうて。」
紅葉が鏡花を可愛がる理由の一つも、そこにあった。
今度こそ、最強の暗殺者をこの手で育てる、と。
「其方はどうなのじゃ?」
「…………俺は、断固反対だ。勿論、彼奴のトラウマもあるが、一番は………」
彼奴には、何も知らない無邪気な笑顔でいて欲しい。
それが、中也の願いだった。
768人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ