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十五話 ページ17

「遅いぞ、探偵社。」



鷹のような鋭い目をした男が、腕組みをしてそう言い放つ。
その後ろには、部下らしき青年が敬礼をしていた。



「あれ、君誰? 安井さんは?」




乱歩は失礼とも受け取れる口調で男に尋ねた。


男は「神奈川県警」と書かれた警察手帳を取り出しながら、「箕浦」と名乗った。




「本件はウチの課が仕切る事になった。よって貴様と探偵社はもう不要だ。」




その言葉にAが少しイラッとしたのに対し、乱歩はそれを「莫迦だなぁ」と笑い飛ばす。
だが、箕浦は落ち着いて「今日は探偵には頼らない」と告げる。




────殺されたのは俺の部下だからな。




その言葉に、乱歩とAは真剣な顔付きになる。
敦はそれを、不安そうに見守っていた。



箕浦が捲ったブルーシートの上には、胸部が血で染まった女性の遺体が横たわっていた。

乱歩は帽子を取り、「ご婦人か…」と呟く。
敦は口元を手で覆い、何とも言えない表情を見せた。




「今朝、川を流されている所を発見されました。」




───だが、Aにはその言葉は聞こえていなかった。




ドクン、ドクン。




遺体を見たAの顔が、一気に真っ青になる。
波打つ心臓の音を止めるように胸元を抑え、はぁ、はぁと荒い息を吐く。


Aの脳裏に浮かんでいるのは、幼い頃の記憶。
目の前には、銃殺された女性の遺体。
その遺体を、涙を流しながら抱える男性。
自分の手には、拳銃が握られている。




──────私が、殺した。





「…………さん、……原さん、中原さん?」




はっと我に返る。
目の前には、敦の顔があった。



「如何しましたか?」

『あ、いえ……御免なさい、急用を思い出したから、帰りますね。』




ぺこりと頭を下げ、Aは走ってその場を去った。




「………何だ、あの女は?」

「あの人は僕達の友人さ。僕が無理を言って強引に連れてきちゃってね……あぁ、安心し給え。彼女が犯人だという可能性はほぼゼロだ。」

「遺体を見て、気分が悪くなっちゃったんですかね……」




数日後。

Aがテレビを付けると、丁度件の事件が報道されていた。




(この事件、この前の……犯人、あのお巡りさんだったのか。)




解決して良かった、とAは胸を撫で下ろす。




──────駄目だ。




Aの頭に、又あの記憶が蘇る。
パチン、と頬を叩き、現実に引き戻す。




(よっしゃ、調べ物しよ。)

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作品ジャンル:アニメ
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桃茶(プロフ) - 詞音さん» ありがとうございます!夜中の3時…!?ちゃんと睡眠も取ってくださいね!w (2018年4月9日 7時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 面白かったです!ついつい夜中の3時後まで読んでしまいましたw 他のも見ときます! お疲れ様でした。(´∀`) (2018年4月9日 3時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
桃茶(プロフ) - 御免なさい、三十二話とあとがきが何故か消されていて……形的にはこれで終わりです!閲覧ありがとうございました! (2018年4月3日 13時) (レス) id: d281eb019e (このIDを非表示/違反報告)
悠爽 - 終わるんですか!?とても良い作品だったのに!でも作者さんお疲れ様でした。とても素敵な作品で面白かったです!!! (2018年4月3日 13時) (レス) id: e139e0903a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - え・・・終わっちゃうの!?・・・・・おもしろかったです!! (2018年4月3日 12時) (レス) id: da69d52ea0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桃茶 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年10月26日 0時

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