甘い言葉なんて、言ってやるか。 (ページ17)

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マ「それではワタナベマホトでした。また明日の動画でお会いしましょう、さよなら～。」

ワタナベがいつものように動画をしめ、皆自由に散っていく。

編集、作詞、授乳。

自分は何をしようかと何気無く雄代の方を見れば、帰り支度をする彼の姿。

ゆ「親方、俺帰るわ。」

マ「んぁーわかった。A、お前も帰るんだろ。」

確かに、雄代が居なければこのメンバーであたしがいる意味は無い。

二つ返事で帰りを決めてしまい回りは驚いていたものの、雄代の速さを追っていたためそんなのお構い無しに出てくる他なかった。

道に出たって家に着いたって、雄代はまるであたしの存在に気付いていないかのように無視し続けた。

いやもしかして、本当に気付いていないんじゃと思い始めた時。

ゆ「おい。」

少し怒気を含んだ彼の声。

「なに。」

彼が携帯から目を離し、立ち上がった次の瞬間。

あたしはベッドに押し倒されていた。

一瞬の出来事すぎてなにがなんだか脳が処理しきれていない中、細められた鋭い瞳があたしを捕らえる。

ゆ「どういう事か分かってんだよな、それ。」

彼の目線の先にある‘それ’。

そう、先程カワグチがあたしに付けたキスマーク。

動画の内容だったから仕方無かったということを伝えるべく口を開きかけるが、見透かしているかのようにだからってありえねぇだろ、と。

これ以上なにができるかと考えるものの、彼の顔が近すぎて脳が言うことを聞かない。

ゆ「もう分かってんだろ？」

首筋にちくりと痛みが走る。

印をつけるだけだから普段なら一瞬、でも今日は違くて。

暫くしてゆっくりと唇を離した彼。

ゆ「なぁ、今から俺の言うこと聞けたら許してやってもいいけど？」

止せばいいのに、あたしは今までに無いこの雰囲気にきっと気持ちを抑えきれなかったのだ。

──そう、頷いてしまった。