甘い言葉なんて、言ってやるか。 (ページ11)

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すれ違った先にある出会いと再会ページ11

久しぶりに、こんなにむきになって喧嘩をした。

同居を始めて４日目。

たった４日。

なのに３日も夜帰らないとなれば、それは当然誰だって嫌な筈だ。

一日目がライブからの打ち上げだって別に構わないし、むしろ行ってもらわないと困る。

二日目が新曲の打ち合わせと飲みで帰れなくたって、それは彼の仕事上仕方のないこと。
こちらもそれがよくあることだと承知の上で付き合っているのだから。

でも三日目、親方と飲んでくると言われて一方的に電話を切られ、あげくの果てに帰ってきた彼から女物の香水の匂いがすれば、それは怒るなと言う方に無理があるだろう。

キレた勢いで財布と携帯だけもって出てきてしまったが、行き場が無い。
前まで住んでいた賃貸も、つい昨日引き払ってしまったばかり。

仲間家に行くにしてもワタナベと飲んでくるという理由だったために─本当かどうかは知らないが─行きづらい。

サグワは誰だかとコラボするらしく５時起きだと騒いでいたため、肘邸も無理。

現在朝の７時、駅までグダグダと考え続け思い付いたのがバイト先、エルロンだった。

準備中と出ているドアを引き、いつものように店に入る。

今日、シフトが入ってない日だと気づかれないように。

は「おはよーう。」

「おはよ。」

本気で気づいていないようだ。

は「じゃあこれそこに並べてくれる……ん？」

「なに？」

は「あれ、なんで今日いんの？」

「だめ？別にシフト入ってないから給料無しで良いけど。」

は「や、いいんだけど…なんかあったか？笑」

「いや？ちょっと暇で笑」

は「そ？じゃあこれね。」

あれ、あんま突っ込んで来ないんだな。

まぁ、雄代のお姉ちゃんだからバレたらバレたで面倒だし。

この後閉店までいつも通り働き、店を出た。

はるちゃんがいい人で本当に助かった。

でもこの後本当に行き場が無くなってしまった。

どうしようか。