徐々に 1 ページ7
「そこ、私の布団なんですけどぉ〜」
席をはずしたのを見計らって、ちゃちゃっと敷いたんだけど、まさか戻ってきたら何食わぬ顔で寝そべるなんて
「お前のって、この家狭いからまともに寝れる場所、ここしか無いじゃねぇか」
「そうだけど、それを承知で泊まってきたのは、貴方でしょ」
右足で、横になってるそのデカい背中を蹴る。優しくしてるからとはいえ、全然ビクともしないな……
「あー……もうちょっと右」
こ、こいつ……っ!私のこと、五月蝿いマッサージマシーンみたいに扱いやがって。
「いいじゃねぇか。一緒に寝ようぜA」
「誰があんたなんかと……!」
「んな、警戒すんなって。何もしねぇよ」
端によって出来たスペースに、布団を上げて誘ってくる。もともと、1人分の布団だったし、普通の大人よりデカいあいつが寝てるせいで、とても狭そう。
でも、私1人分のスペースはしっかりある。
……よく見たら、身体半分布団からはみ出てんじゃん。ふーん、そういう気遣いは出来るんだ。
「なっ?A、あんまり人に甘えられなかっただろ?今ぐらい甘えていいんだぜ」
私の父は母が消えてすぐおかしくなった。だから、いつも1人で寝てた。寒い冬だって、1人で温めてた
「でも、結構。私は大人だから。私は向こうで寝るからいいです」
部屋は1つしかない。布団がひいてるのは右側だから、このちゃぶ台さえどかせれば、寝るスペースは十分にある。
布団はないけど、バスタオルを引けばいいし。
「よい、しょっと」
ほら、完璧。見栄えはあれだけど、寝床って感じする。ちょっと床が固くていたいけど、寝ればそんなのどうでも良くなるし。
今が真冬じゃなくて良かった。
電気が消えて、回りが見えなくなったけど、たしかに後ろから感じる人の気配。最近、父が帰ってこなくなったから、こういうの久しぶりでちょっと落ち着かない。
「おい、寝てんのか?」
「……」
なんのつもりか知らないけど、あんまり会話したくないし、ここは黙ってたほうが──あぁ!?
なに?身体が浮いた?動いてる、
「ちょ、ちょっと!?」
「んだよ、起きてんのかよ。女子なんだから、もうちょっと自分に優しくしろよ」
「はぁ!?元はと言えばあんたが……」
私を軽々と持ち上げたかと思ったら、布団の上に優しく下ろして、私がさっきまで入ってた寝床に行く。
「え、ここで寝ないの?」
「一緒が良かったか?」
「いやだ」
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食べられた?(プロフ) - あ ま ね 。さん» 初めまして〜!ありがとうございます。嬉しいです(*^^*)パパ黒良いですね。私もそう呼ぼうと思います☆ (2021年2月2日 14時) (レス) id: 5628ab8247 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - はじめまして!!挿絵素敵すぎます(>_<)私は甚爾さんのことパパ黒って呼んでます~! 更新楽しみにしてます! (2021年2月1日 11時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食べられた? | 作成日時:2021年1月27日 17時