新しい場所 4 ページ14
手には冷たく重い短剣が握らされている。
手持ちの部分には御札のような物が貼られていて、いかにも凄そうなやつである。
「そんなにビビらなくて大丈夫だよ。私がついているからね」
今わかった。
これ、危険なやつなんだ。そう言えば、昨日さらっと誤魔化してたけど、「危険なものでは無い」とは言ってなかったな。
お寺から歩いて数分。近くの寂れた工場の前にいる。
「入るよ」
慣れたように工場の裏に周り、切られたフェンスから中に入った。正直もう帰りたい。
工場の敷地内へと入ったが、工場内には入らないらしく、何も無いコンクリートの真ん中に立たされる。
「その短剣で刺すだけだから」
突然夏油さんは意味の分からないこと言うと、何かを取り出した。黒い玉のようなものを取り出して、モンスターボールを投げるみたいに、軽く私の方に投げてきたと思ったら、その黒い玉はみるみる形を変えて
「あぁ……」
人ではない何かが表れた。
昔彼と会った時に見たあれだ。声が出ないので、顔でうったえる。しかし夏油さんは私の短剣を指さして「切ってごらん」と言ってくる。
そんな事言われても手はガタガタと震えて使え物にすらならない。
「ｷﾞｷﾞｷﾞ……」
こっちに向かってきて、長い腕のようなもので私に触れようとしてくる。直感的にやばいと感じて、なんとか足が動き、ギリギリでかわす。そして走って距離をとる。
遠くから様子を見るが弱っているのか、化け物自体に速さはない。
死にたくない。ただそう思った。まだ震える手に意識を集中させる。何度も何度も震えを抑えようとする。
「だめだ──っ！」
さっきまで遠くにいたはずの化け物は、気付いたら目の前にいた。その時、一気に脱力して死を悟った。そして夏油さんに対して怒りを覚えた。
腕の震えが止まり、身体に力がみなぎるような……
覚悟を決めるには今しかない
触れられる前に私は短剣を握った右腕を動かす。その顔(？)目掛けてぶっ刺す。
短剣から化け物の肉の感触に、筋肉のようなものの痙攣を感じた。そして静かになって、化け物は動かなくなった。
「お疲れ様。助けにいかなくて正解だったね」
その場に崩れ落ちた私に近づいてくる。
「……怖い思いをさせてごめんね」
私の表情を見てか、申し訳なさそうに謝ってきた。私、どんな顔をしてたんだろ。さっきまで私を危ない目に合わせた彼を恨んだが、今はもうそんな気持ちはどこかへ行ってしまった。
私は彼に甘い。
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食べられた?(プロフ) - あ ま ね 。さん» 初めまして〜！ありがとうございます。嬉しいです(*^^*)パパ黒良いですね。私もそう呼ぼうと思います☆ (2021年2月2日 14時) (
レス) id: 5628ab8247 (このIDを非表示/違反報告)
あ ま ね 。(プロフ) - はじめまして！！挿絵素敵すぎます(>_<)私は甚爾さんのことパパ黒って呼んでます~! 更新楽しみにしてます！ (2021年2月1日 11時) (レス) id: 36c644cd03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：食べられた? | 作成日時：2021年1月27日 17時
