肆弐 いつかきっと ページ43
「はい、これです。今度からは自分で…へっ?」
書類を渡そうとすると、手首を掴まれた。
あっ……そうだ、包帯…
「これ最近の流行りなんですよ。あはは…」
嫌ぁああ!!すごい剣幕で睨んできます…
数週間前にも、同じ事で怒られたっけ…
確か、殺すって言われたような…大変です!さっきも脅されたばかりなのに…宇宙最強の種族に。
「そうかィ。流行りだっていうなら、全身に巻いてやろうか?隙間一つないように」
嫌ぁああ!!ミイラにされる!!
絶対窒息死させる気だ…目が本気だ。
っていうか、もう包帯持ってるよ!!やばいよ!
「言ったよな?殺すって」
「はい。ごめんなさい…」
「なんで、んな無茶する必要があるんでさァ」
「…せめて総悟さんの側に居ても、邪魔にならないように強くなりたいんです。駄目ですか」
見つめた紅い瞳は真っ直ぐに私を写している。
本当は逃げ出してしまいたいくらい怖い。この目を逸らしてしまえたら、どんなに楽か。
…また、拒絶されてしまうじゃないかと。
でも…ここで逃げたら、誤魔化したらきっとこの距離は離れていくだけだから。
鼓動が早い。溢れそうな涙を必死に堪える。
「お前ィ……帰りたくねェのか?」
予想もしなかった言葉。
もしかしたら、遠回しに帰れと言っているのかもしれない。でも…もう、失いたくない。
「…私は、ここに居たいです。無理だって…迷惑だなんて分かりきってるけど……帰りたく…ない」
「…俺は迷惑なんて思ってねェよ。それに、自分の道は自分で決めるもんでィ…A?」
何故かいきなり俺に背を向けて、文机の前に座る。
まるで、今までのことがなかったかのように書類がまだ終わってないとか言ってやがる。
すぐに嘘だと分かったが。その背中が震えているから。ほんと、強がりだよな。そんなんで隠せてると思ってるのか。
まぁ、でも最後まで格好つけさせてやるか。
「丁度いい背もたれがありまさァ」
そう言って、Aの背に寄りかかる。
思ったよりも小さくて、力をかければ折れてしまいそうなくらい頼りない背中。
不細工に磨きのかかった、顔なんて見られたくねェだろうから。……なんて。言い訳だ。気を抜くと思わず、口角が上がる。
…良かった。そんなことを考えている。
こいつがここにいる資格が無いんだっていうのなら、俺がその理由になりたい。
側にいてほしい
そんな言葉は言えないかもしれない。
でも、いつかきっと伝えよう。俺の思いを。
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千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時