. 燈火 2 (ページ5)

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目を覚ますと、少し前に見慣れた風景

例の手術をした病院だった
ドラマでよくある台詞を聞いた瞬間からもう意識がなく、目を覚ませば隣で光が眠っていた

疲れているのか目の下に隈ができている

「ごめん…」

彼の頬をなぞった時、ちょうど検診に来た担当の先生
体調を聞かれ、大丈夫と応える

「ではお話があるのですが、少し来ていただけますか？」

生唾を飲み込み、横で眠る彼を起こさないよう、ゆっくりとベッドを出て、先生の後ろをついていった

．

「最近、ご気分優れてました？」

「あ、最近風邪気味で…」

「月経は、いつから来てませんか？」

「……最後に来たの……、…1ヶ月前くらいに来ました、」

「ん〜、恐らくそれは月経ではなく、妊娠初期に見られるものです

妊娠、おめでとうございます

かなり成長していて推定になりますが…妊娠約3ヶ月くらいですかね」

呆気にとられるとはこの事で、
驚きのあまり口を閉じる事すらできなかった

コンサート中に妊娠していたのにも関わらず、奇跡的に流産すること無く生きていてくれたお腹の子

「まず、近いうちに市役所で母子手帳貰ってきてください
エコー、もう見ることができますが見て行かれますか？」

もう頭がぐっちゃぐちゃで、お腹の中にもう一つ、俺でない命が宿っているなんて信じられない
だから尚更、エコーで子供の姿を見たい
でも……見るなら、彼も一緒がいい

「あの…彼、連れてきていいですか？」

．

彼をとんとんと柔らかく叩き起こすと、目を擦りながら俺を見て立ち上がった

「…聞いた？おめでとう」

そのまま俺を優しく抱きしめる
幸せだ、幸せの何者でもない

エコーを見に行くと言うと、行こう！俺も早く見たかったと言う
彼は眠っている間の検診で見れるはずだったのに、俺と同じことを言ったと聞いたときにはどこかで彼と繋がっていると感じ嬉しくなった

お腹にクリームを塗られて、ゆっくりと機械を当てられる
先生が、これは頭で…と一つ一つ部位を説明していく

手のひらサイズくらいだろうか、ちいさい我が子だが、俺の腹の中で一生懸命生きてると思うと、感慨深い

光も何故だか俺の手を取って、先生の話を熱心に聞いていた

「薮さんが倒れられたのは、妊娠症状だと思われます
悪阻も始まっているようですし、これから大変だと思いますのでお仕事も時期を見てセーブするなりしてください」