. 燈火 2 (ページ18)

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「ん…、っ、薮？」

目を覚ますと、驚いたように自分の頬あたりに零れ落ちた俺の涙を拭った

「ゃ、薮どっか具合悪い…？」

「何もねぇ…ごめん」

「……、赤ちゃん、見に行く？」

「うん」

俺達の子供の待つ新生児集中治療室へ

その間、ひかるからいろいろな話を聞いた
グループメールでたくさんお祝いメッセージが来ていること、
倒れていたのを発見したときは、すごく心配していたこと
俺達の昔の映像のことまで…

まるで、俺に話さないでいいよと促しているように……

ひかるはそういうところがある

察して、一歩あとをよちよちと歩いてくる
まるで亭主関白の妻であるような…
こうやって話してほしくなさそうなことは無闇に話させようとしないし、なんなら話を遮ることまでする

人の話したくない事にはしっかりと蓋をするのだ
それは、…真実を知るのが怖いから

「ごめん、」

「…、なにがっ」

「迷惑ばかり掛けた

迷惑かけたくなかったのに、それが裏目に出て…」

「なんで謝るの、っ…

俺だって…薮に謝らなきゃいけないこと、いっぱいあるのに…っ」

好きだからこそ、知りたくないことは山ほどある
こうやって、迷惑を掛けまいとしているうちに彼を追い込んでいっているっていうのに…

「ひかる、着いたよ」

こうやって俺だって怖いから、彼が蓋をした上に鍵を掛けて闇に葬りさってしまうんだ

「可愛いね、…」

「うん」

あまりの破壊力に言葉を失ってしまった
お腹を痛めて産んだ子どもはすごく可愛かった
他の子とは比べ物にならないもののオーラを放っていた…気がした

これがいわゆる親バカというやつなのか

「馬鹿だな、俺達」

「うん、そうだな」

そうやって小さな箱をいくつも抱えたまま、何も無かったかのように笑ってしまうのだ
隣で彼がその箱を開けようとしているのを阻止して

…結局、彼に擦り付けて自分をいい子にしたいだけの自分、