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「…、これは?」
「…ぃや…あのね、言おうか悩んだんだけど、ここまで来ちゃったら言おうと思って」
目を泳がせて唇を噛み締めて、ひとつ深呼吸
今から言う言葉を発するのが、怖いかのような感情が読み取れた
「俺、ゆーとと付き合ってる」
ゆーと、ゆうと、裕翔…
「え、うちのメンバーの?」
「中島裕翔」
口をあんぐりと開けて両手でその口を覆った
裕翔と雄也…過去に同じドラマに出ていたり、ユニット組んでいたり、裕翔の行動一つ一つに大きく笑う雄也が印象に残る
確かに言われてみればしっくり来るのかもしれない
「おめでと…う、」
「まだ付き合ってすぐだけどね
もし、妊娠したらって話…今しててね?
勿論薮くんの子どもが生まれてからかな?って話もしてるんだけど…
子ども欲しいけど、…寂しい思いさせるかなとか、俺達で育てられるのかな?とか…」
色々将来のことを考えて、すごく不安になっているようだった
俺達は前も言ったが、二人とも子どもが好きで、昔からずっと子どもが欲しくてたまらなかった
あれから、少し悩んだ
俺達の置かれている立場もあるし、今はグループが成長してやっと世間の人に見つけてもらって、着実に階段を上り始めたときなのに
光と何度も話したときも、子どもができたって分かったときも、みんなに話したあとも尚、今、俺達がしようとしていることは果たして期待を裏切ることになってしまうのでは無いかと…
でも、ある日光が言ったんだ
…俺達の人生だから、俺達のしたいことしよ、?
その言葉は社長の言葉を借りたらしいが、それは今の俺達にはピッタリだった
その言葉で俺達は吹っ切れたし、有難くこんなにみんなが肯定してくれるなら、…俺達もみんなの期待に応える、元気な可愛い子どもを産んでやろうって…
「俺は賛成だよ
お前たちの人生なんだからお前たちが決めろよ」
「そっか…そうだよね、ありがと」
いつか俺にも来たらいいなあ…と言いながら腹を擦っている
お前にも来るよ、と言いながら俺もおまじないのように腹を擦った
「薮くん、大丈夫だから」
なんの前触れもなく発されたその言葉
大丈夫、ずっと嫌いだった
大丈夫って凄く軽い言葉のように聞こえていたから
だが、今日聞いたその言葉は凄く重くて
そのトゲは俺にいとも容易く刺さって抜くことが容易ではない
そんな俺の気持ちなんて知らない彼は、俺の腹をまた擦り、ずっと引っかかっていたトゲが抜けたような幸せな顔を浮かべていた
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作者名:ゆう | 作成日時:2019年8月26日 22時