~ C a r n a t i o n . ~ (ページ6)

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「お邪魔します」

「ん、」

ひかるの家に入るときに必ずそういう。

でも、ひかるを見るとなんだか寂しそうな顔してる。

「ひかる」

「やぶ？」

本当は、《ただいま》って言いたい。

でも、ひかるがどう考えているのか分からない。

一緒に住みたいとも思う。

でも、やっぱり俺は、ひかるの気持ちを優先したいから。

寂しいって背中に書いてあるのを消すかのように後ろから抱きしめる。

でも、それは、一瞬で、

「やぶ、寒いからさ、リビング行こう？」

「あ、うん。」

ひかるは、俺から離れて、リビングへ向かった。

その背中はやっぱり寂しそうにしていた。

「ソファーに座ってて、」

「俺もなんか、手伝う.....」

「なにもしなくていい。」

リビングに入ると、暖房をつけ、キッチンに向かう。

俺も行くけど、かわされて仕方なく、ソファーに座って面白くもないテレビを見ることにした。

俺もお腹すいたなぁ。

作ってくれないかなぁ。

コトン

と机の上にお皿がなる音。

できたのかな！そう思って近づくと、そこには明らかに1人分のご飯だけがあった。

「あれ、俺のは？」

思わずそう聞くと、

「え、知念と食べてきたんじゃ...」

「いや、食べに行く前に知念に言われて....」

素直に言うと、びっくりしていたけど、

「あ、でも、自分だけのしか、作ってない....今から作るね。」

そう言って、キッチンに戻ろうとするから、

「ひかる、いい。」

「え、あ、の、」

腕を掴んで、

「ひかる？座りなよ。」

「えっと、、うん...」

座るように促し、俺も向かいに座る。

「や、やぶ？」

「ひとくちちょーだい、！」

そう言って口を開ければ、口の中に煮物が入ってくる。

「ん～！うまっ！」

「あ、ちょっ、！」

久しぶりのひかるの料理のうまさに思わず俺も！と思って、ひかるから箸を取って、ひかるに煮物を差し出すと、

「え、っと、やぶさん？これは、、、」

なんて言ってきたけど、

「いいから笑はい、食べて！」

「う、うん」

無理矢理食べさせる。

「ん、うまい」

ひかるが笑顔で言うもんだから俺も思わず笑顔になる。

俺ももう1個食べたいなぁなんて思ってひかるに箸を返して、あー、と口を開けて待っていれば、さっきと同じように入れてくれる。

そんなことをしながら、久しぶりにひかるとご飯を食べていた。