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「はい、ここ」
電車に揺られ、バスに乗り…30分程でその場所に着いた
駅への道中にある俺の家で、白いカーネーションをひとつ
名も知らぬ方の苗字が書かれた石碑が規則的に並ぶ
彼の先祖が埋まっているというその墓は、坂の中腹の方にあって、海が山と山の間からちょこっと顔を出すような場所だった
それでもちゅんちゅんと鳥のさえずりが聞こえる、のどかな場所だった
「お母さん、僕が小学校の頃に亡くなっててね…
毎年母の日、お母さんが好きだったカーネーションを持ってくの」
どこか掴めそうで掴めない
近くにいるのに遠くて…
「…そっか」
そんな彼に、俺は慰めの言葉をかけることも出来ず
そっか、ただ一言だけしか呟くことができなかった
彼の抱えていたものの重さを知ってしまって…
彼の強さに、勝手に、自分が恐れ慄いてしまった
彼の覚悟に俺はなす術の無いまま
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作者名：みんな x他4人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=b546023d50dc6f80547173875caefb43...
作成日時：2019年11月29日 18時
