~ C a r n a t i o n . ~ (ページ30)

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「やっ、薮くん、！！」

「今日は何してたの？」

「ごめん…すっごくいいラフ浮かんだから描いてた、」

「いいよいいよ、時間無いから食べよ、ほら」

少し前まではあんなに多かった人も、いつの間にかまばらで
少し前に買っておいたカレーはもう冷めている

いつも彼の右手には風呂敷に包まれた弁当
そして左手には水筒

〜〜〜

去年、彼がこの学校にいると知って、会ったら会釈くらいはするような関係になった
それから、彼の友達が部内にいるとか何とか…で彼が部活に見学に来るようになった
少しだけ話す機会も増えたと思えば…そこから彼はサッカー部のマネージャーになった

そんな事もあり、勿論話す回数も増えて、彼のことを知ることも増えた

彼は天然で少しおっちょこちょいなところもあるが、人にすごく優しくて…
自分より人を優先させてしまう性分らしい

祖母の言っていた「ひかるくんを見習ってね」の意味が、この一年弱で分かったような気がした

「…あっ…やっばい……午後からの講義はじまっちゃうっ…

ごめんっっ、薮くん、また明日！」

「また明日」

パタパタと弁当箱を仕舞って、掛けていく彼

「……っあ、」

今日は母の日だったのに…
彼に白いカーネーションの話をしようと思ったんだけど

また来年にしよっかな