~ C a r n a t i o n . ~ (ページ17)

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｢お願いっっ！！！｣

そこで頭を下げているのは、“帝王”とも呼ばれるこの学校の生徒会長。

そして、ポンコツで、歌と頭の良さが取り柄で、ポジティブofポジティブのくせに、ネガティブになるとなかなか戻らなくて、すぐ転けたり頭打ったりする、中々の天然。

俺たちの仲間、薮宏太。

いやぁ、それにしても、あの“帝王”なんて呼ばれ恐れられている薮がこの学校のせんせーに啼かされているなんて誰が思うだろう。

それは9人だけの秘密で、その秘密を隠しながら生活するのもまた、楽しい。

涼｢……べ、つに、俺たちでいいなら教えるけど……｣

俺の2個下、山田涼介。

3年生になれば薮のような生徒会長になると噂もあるけれど、薮を身近で見てきた人間としては……

生徒会長になりたいとは思わないよね、と7人で話したことがある。

そんな彼もまた、薮の幼馴染みでありながら、薮を敬愛している内の1人である。

｢ほんとっ！？ありがと、山田ー！｣

涼｢うぉっ、大丈夫だよ、薮ちゃん。｣

多分、そのスキンシップがダメなんでしょ。時々腰押さえて痛そうにしてるけどさ。

侑｢というかさ、この中で料理できるの涼介くらいなんだから涼介だけ行けばいいじゃん。｣

知念侑李。

山田と同じ1年生で、背は最小。

その可愛い顔と、それにそぐわない毒舌が人気らしい。この子のブレーキはどこにあるのやら。それを知ってるのは、薮だけだと思う。

……そう、そして。黙っていたが俺だって料理、苦手だよ。てか、美味い白米しか炊けない。

｢え……来てくんないの、？｣

はい、でたー。

多分先生もこれに堕ちたんじゃないかと俺はふんでいる、薮の“うるうるおめめ上目遣い大作戦”。

いつもは背が高く背筋も伸ばしているし、キリッとした顔をしているから、怖がられがちだが、この顔を見て薮に堕ちる子は少なくない。

本人が意識してやってるから、タチ悪い。