~ C a r n a t i o n . ~ (ページ12)

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yb side

なのに？

なのに。

俺は暗い部屋の中、独り佇んでいる。こんなはずじゃ、なかった。

机の上の豪勢な料理も、俺の右ポケットに入っている愛しの彼氏へのプレゼントも、用無し、台無し。

捨てればいいのに、どうしても捨てられない。

……せんせなんて、知らない。

大っ嫌い

……になれないのが悔しい。

今日だってね、分かってるんだよ。仕事だから仕方ないってことくらい。

今日の予定を聞いた時の、あのせんせの顔。忘れらんないよ。

絶対絶対、一緒に過ごせるって思ってた。

だって、クリスマスだもん。
だって、だって、だって……

伊野尾も大ちゃんも髙木も。山田や知念、裕翔や圭人だって。

みんな忙しいのに料理の仕方を教えに来てくれた。みんなに助けられた。

最後に一言。“楽しんでね。幸せになってね。”

俺だって、幸せになれるって思ってた。

……せんせのバカ。早く帰ってきてよ……！！！

☆☆☆☆☆

早く帰ってきて、なんて願っても帰ってこない。

もう、夜の9時。

ねぇ。もうあと3時間でクリスマス終わっちゃう。

ねぇ、ねぇ、ねぇ……！！

せんせのバカっ。

いつもいつも、うざいぐらいに好きだって伝えてくれるせんせ。

それに素っ気なく返してたのがダメだったの？
やっぱり女の子が良かった？？

ぐるぐるぐるぐる、俺の頭では俺の悪い所がひっきりなしに挙げられてく。

そして、せんせにこれほどまで溺れてる俺も嫌になる。

せんせ、せんせ、せんせ……

泣きたくないのに、目からは涙が止まらなくて。

早く、帰ってこい……早く帰ってきて……早く帰ってきてよ……！！

なんて思って、先生を想い黄色のクッションに顔を埋めるこの時は地獄でしかない。