俺とこーた (ページ37)

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「おはよう」

「おはよー、あれ？薮と光一緒に来たの〜？」

「ぇ…あっ、」

「うん、一緒に来たよ」

「そっか〜、おめでと」

「はいはいありがと」

「待って…何話が読めない」

朝、レッスン室に入った途端一番乗りだった伊野ちゃんが俺達に話しかける

薮と伊野ちゃんの話している内容が意味わからなくて俺だけ置いてけぼり

「だから、昨日言ったじゃん…伊野尾から光が俺のこと好きだって聞いたって」

「……あ〜、待って、二人グルだったの？！」

「薮は違くて、ん〜、俺の計画通りって感じ〜」

「……騙された、」

「でも良かったじゃん、やっとだもん

こっちだって待ちくたびれたっつーの」

「何言われるかわかんねえから他のやつらには黙っとけよ」

「分かってるって薮の言いたいことくらい！」

「まあ…ありがとな」

「どういたしまして、二人ともお幸せに」

少し目を擦りながら祝福の言葉を述べる伊野ちゃんに、何だかこちらも嬉しくなる

話も終わり、各々でストレッチをしたり携帯を触ったりしていると、続々とレッスン室に集まるメンバー

髙木に、「どうしたの？今日いつもより柔らかいね」って言われてヒヤッとしたけど…

まあバレてはいないようだ

暫くして振付師さんが入ってきて、空気も一気にピリッとする

「ここで、全員が後ろに回って、…

5.6.7.8でこちらに向かってきてください

その後、すぐにサビなので注意してください」

難しい指示がいっぱい飛んで、分からないこともあるが、どんどんと振りが頭に入り、踊れるようになる楽しさがクセになってやりがいがある

今回は前作を上回るレベルのダンスで正直とても難しい

「1.2.3.4…、はいオッケーです

休憩入りましょう」

その声と同時に背後から聞こえた人の倒れた音

「っ、伊野ちゃん！」

伊野ちゃんが、顔を青白くさせて倒れていた

「伊野尾！」

「伊野ちゃん大丈夫、？」

「取り敢えず救護室運ぼうか…？」

救護室に行って、専門の方に診てもらう

その方が言うには、軽い貧血と睡眠不足

彼の陰ながらの努力が睡眠不足を招き、食事をあまり摂れていなかったことも原因と考えられた

すぐに目は覚めて事なきを得たが、その日の振り付けは後日に持ち越されることになった

皆が見守る中起きた彼に、メンバーで集中攻撃
努力、…それは時にこんな仇となって帰ってくるんだ

「ごめっ、ん…」