俺とこーた (ページ4)

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『その1. 薮とサシでご飯に行きなさい！』

……

突如そんな司令が出されてホイホイと誘えると思うなよ…

俺にとってアイツとサシなんて、
レベル1でボスに戦いを挑むのと同じ事だ

「無理だって…」

「朝から溜息なんて、光くんらしくないね」

「うぉお？！…驚かせんなよ……にしても大ちゃん今日は早いのな」

「ぇ？いやギリギリだけど…」

「え？嘘やっべぇじゃん！！！」

自分の足のトロさにもうちょっと運動しないとなと考えながら大部屋の楽屋へ向かう

「ギリセーフ…」

「おはよう、大ちゃんは置いといて光くんが遅刻ギリなんて、珍しいね」

「ちょっとボーッとしてた」

「光と大ちゃん、まずメイク行っておいで

伊野尾と裕翔が終わったら、次山田と知念行ってこい」

「はーい」

今日の撮影は、薮とらしい

薮と撮影なんて珍しいことじゃないけど
なんだか昨日の今日であんな事があれば、少し意識してしまうに決まっている

「メイク終わりましたよ〜」

「ありがとうございました！」

お礼を言って、俺と大ちゃんがメイク室を後にすると、大ちゃんがすぐに撮影らしく、メイク室を終えて楽屋へと戻ると待っていた髙木と撮影場所へ向かってしまった

楽屋では、先に撮影を終えたはずの伊野ちゃんや裕翔は何処にも居らず、

ソファに横になって台本を読む薮が居た

「なんで、逆で見てんの」

「ボーッとしてたわ」

「もうすぐ舞台、？」

「そうだねえ…」

ふと台本を見ていた瞳孔は俺を捉える

少し身動ぎした俺を見て、いつもの顔で優しく笑う

「な、なんだよ」

「今日なんの日だと思う」

「なにって…」

「暇？終わってから」

「…まぁ、」

「じゃあみんな帰るまで待ってて、ここで」

「う、うん…」

そうとだけ言うとまた視界を逆さの台本に戻す

それから暫くすると裕翔と伊野ちゃんが帰ってきて、「薮くん光くん撮影〜」と声を掛けてくれた

その掛け声と共に立ち上がって、俺達は撮影現場に向かう

それはそれはいつものように事は遂行していった