【HQ】突然ですが、青春撮ってこい。 (ページ41)

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▽ ページ41

　
　
『「わぶっ！？」』
　
　
「急に止まるなよなぁ〜
　
大丈夫か一ノ瀬？」
　
　
　
ぶつかった相手は幽霊なんかじゃなかった。
いい香りを放つその人の正体は、
　
　
『ど、どちら様で在らせられる…？』
　
　
知らない人だった。でも実体あるから幽霊じゃないよね？
自販機の淡い光に照らされるその人は、どうやら私のことを知っているらしいが。
　
ていうか、私の口調の方がどちら様だよ。
現代の人間の言葉遣いじゃないわ。
　
　
じっと、その人を上から下まで眺めてみたが全く誰だか分からない。存じ上げない。どうしよう。
　
相手は私を知ってるようだし、私も知り合い的な感じでいけばいいのか？？いや、失敗した時のことを考えるとやめといた方がいいかな。
　
　
『あ、あの…？』

　
どちら様ですかね？ともう一度問いかけてみると彼は少しだけ目を見開いた。
　
　
「本当に分からねえ？」
　
　
『はい、遺憾ながら…』
　
　
そう言うと、彼は少しだけ首を傾げてから、口を開いた。
　
　
「分からねぇか〜。俺は…」
　
　
そう言いかけたところで、誰かが彼の背後から声を投げかけた。

「木兎さん、」
　
　
木兎「お、あかーし！」
　
　
ん？木兎さん？あかーし？
　
　
『えっ、あ、木兎さん！？』
　
　
木兎「おう！せーかいっ！！」
　
　
彼の正体は木兎さんだった。合宿中、ほんの少しだけ会話をしただけだったが、あちらから声をかけてくれた為、スルッと話せた。
　

『木兎さん、なんだか随分ぺしゃんこですね』
　
　
木兎「まぁ、いつもは髪固めて立たせてるからな！今は風呂上がりだがぺっちゃんこなんだ！」
　
　
にしし、と無邪気に歯を見せて笑う木兎さんに私の面食いセンサーが不覚にも反応してしまった。意識してしまうと顔が赤くなってしまうのは周知の事実だろうが、今まさにそれだった。
　
　
赤葦「Aも風呂上がり？」
　
　
『いえ、お風呂上がってから時間経ってますよ』
　

赤葦「顔赤いから逆上せたのかと…
　
そう言えばさっきもだったね」
　
　
『あっ、やっぱお風呂上がりです！！今！まさに！
　
逆上せて顔が赤いんです！！！』
　
　
赤葦「ふふっ、熱中症の次は逆上せ？」
　
　
『ちょ、赤葦さん意地が悪いです…』
　
　
分かっているくせに、そういった赤葦さんを睨むと、サラリとかわされてしまった。
　
　
木兎「？」
　
　