・ ページ24
J.L
『やっぱり皆さん、目立ちますね』
そう、Aさんはふんわりと微笑んだ。
その言葉に辺りを見渡せば、確かに。視線が僕たちに集まっている気がしますね。
……僕たちではなくて、Aさんに。ではないでしょうか。
なんて思いながら「ふふっ」と笑うと、Aさんは首を傾げた。
「注目を集めているのは貴女ですよ、Aさん」
『私、ですか？』
Aさんがパチクリと目を瞬かせる。
それに頷いて、そっとAさんの腰を抱き寄せた。
『……！』
「っ！」
そのまま辺りに睨みをきかせれば、さっきからヒソヒソと話していた男たちが息を呑む。
Aさんが、驚いたように息を漏らした。
僕の意図に気付いたらしいフロイドが、Aさんの頭に顎を乗せる。
「そーそー、俺らシロイルカちゃん以外にキョーミねーし」
「ですね。……まぁ、Aさんも僕たち以外に興味ないでしょうけど」
そう笑い合うと、気まずそうに僕らから視線を逸らすギャラリー。
Aさんだけが何も分かっていないようで、小さく首を傾げていた。
その様子が小動物のようで可愛らしく。つい頭を撫でてしまった。
「向こうの方にあまり人が居ない場所があります。……そこで泳ぎましょうか」
アズールがAさんの手を取る。
僕たちは周りを牽制しつつ、後に続いた。
「楽しかったかい？小鬼ちゃん」
さて、その数時間後。
僕たちは、サムさんに迎えに来ていただいて学園へと戻っていた。
行きとは違って、屋根の空いていない普通の車。
ハンドルを操縦しながら、サムさんが笑う。
「えぇ。久しぶりに海へ行ったものですから」
「ジェイドなんてぇ、沖の方まで泳いでったもんねぇ」
「つい昔のように……おや」
フロイドの言葉に微笑み、Aさんの方を見ると。
僕の服の裾を握り、静かな寝息を立てて眠っていた。
何も言わなくなった僕を不審に思ったのか、アズールたちがゆっくりと後ろを向く。
それから、Aさんを見て小さく笑い声をあげた。
「シロイルカちゃん寝ちゃった？」
「えぇ、ぐっすりです。……ふふ、可愛らしい寝顔ですね」
僕はそう笑って、携帯を取り出す。車内にシャッター音が響いた。
その写真をどうするか迷って。
結局、ナイトレイブンカレッジ生だけが見れるアカウントに投稿した。
海を見に行こうよーー完ーー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3475人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜夏幹(プロフ) - とても好みだ。に私まで落ちました。（勿論、心の中でとどめてます。主人公は夢主さんですから^^ (2023年4月11日 10時) (
レス) @page8 id: 3d710f5422 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - エースが優しいの結構すきだなぁ……オール好きだけど。この優しさ大優勝 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
桜澤(プロフ) - 季節の変わり目は……私も体調よく崩すので……小言で……羨ましいっ///// そして、可愛い！！川？って言ってったけど……違う！そうじゃないww (2020年11月26日 9時) (レス) id: 20b9b01cf5 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - むゆ。さん» いえいえ、お話できて楽しかったです (2020年10月23日 19時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
むゆ。(プロフ) - printemps(プランタン)さん» ですね……笑 ご丁寧にありがとうございました！ (2020年10月23日 19時) (レス) id: 38565869ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2020年10月12日 0時
