第48話 俺と戦え ページ6
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「......っ！」
太宰は乱暴に髪を掴まれると同時に、途轍もない力で無理やり中也の方に引き寄せられた。自分よりも小柄なくせに、一体どこからそんな馬鹿力が湧いてくるのやら。......だけど、やっぱり中也は小さいわねぇ、とAはこの状況でも、やはり目の前の人物を淡々と小馬鹿にしていた。勿論、面倒なことになりかねないのは目に見えていたし、敢えて口には出していないけれど。
「丁稚の芥川は騙せても俺は騙せねえ。何しろ俺は、手前の元相棒だからな。......何をする積もりだ」
「何って......見たままよ、捕まって処刑待ち」
「あの太宰が不運と過怠で捕まる筈がねえ。そんな愚図なら、俺がとっくに殺してる」
中也の表情から、これでもかというくらいの殺気が滲み出ていた。しかし、決して愚図ではないが、太宰だって同じ人間だ。失敗する時ぐらいはある。
「......考えすぎ。心配性は禿げるわよ」
ん？ まさか......その帽子はハゲ隠し......！
「ハゲ隠しじゃねえぞ、一応云っとくが」
そう云って中也は帽子を取り頭頂部を目の前の阿呆に見せつけた。流石は元相棒だ、と内心太宰は思った。当たり前だが、ちゃんと髪は生えていたわけで。本当にハゲ隠しであったのなら色々と不味かったであろう。
「俺が態々ここに来たのは手前と漫談する為じゃねえ」
「じゃあ何しに来たの」
その問いかけに、中也が奇妙な薄笑いを浮かべたのを太宰は見逃さなかった。
「嫌がらせだよ」
「......はあ？」
「あの頃の手前の嫌がらせは芸術的だった。敵味方問わずさんざ弄ばれたモンだ。だが、そう云うのは大抵、後で十倍で返される」
刹那、太宰の頭頂部の上を何かが横切って、耳元では壁が削れたような音が響いた。何が起こったのかと落ち着いて背後の壁に目をやると、先刻まではなかった大きな亀裂が入っていた。中也が足で壁を蹴ったのだろう。一撃でこの威力。おまけに手錠の鎖はご丁寧に切断されていて、逃亡することが可能になった。
「手前が何をたくらんでるか知らねえが、これで計画は崩れたぜ――俺と戦え、太宰」
続く (更新停止中)
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美穂 - 続き気になります。更新頑張ってください！(^^)d (2020年5月13日 1時) (
レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 文ストだぁぁぁぁ！ (2020年4月9日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
水姫 - 凄い面白いです ！中也が好きなので楽しみですーーー！！ハマりました (2019年9月16日 22時) (レス) id: c8e9b80948 (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - ふぅぁぁぁああぁあ！！！！好きだああああああ！何これ最高！！これは芥川さんオチなんですか！？！？？？？！！！！！ (2019年1月12日 0時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月24日 2時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パティー | 作成日時：2016年7月22日 12時
