第41話 一般人の名探偵 ページ43
.
「山際が入手したという証拠品は何処だ」
「………」
「その議員は山際の仇だ、云え杉本!」
質問に対して一切口を割ろうとしない杉本に、はたまた乱歩が云った。
「ねぇ杉本君、彼女の最後の台詞を中ててみせようか」
『ごめんなさい』
凡てお見通しなのだと、最後にもう一度だけ杉本に判らせたかったのだろう。幸い証拠は机の抽斗の中にあった。
杉本の自白、そして乱歩の異能力『超推理』によって長いようで短かったこの難事件は、これにて万事解決した。
乱歩の実力を嫌というほど思い知らされた箕浦は別れ際に、実力を疑って悪かったと申し訳なさそうに謝ってきた。難事件があったらまた頼む。その言葉を聞いて満足したのか、心做しか乱歩の表情が和らいだ。
「僕の能力が必要になったらいつでもご用命を。次からは割引価格で良いよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「凄かったですね、乱歩さん! 真逆全部中てちゃうなんて『超推理』本当に凄いです」
感激する敦の隣で太宰が眉をひそめて、半分くらいは判ったかしら、と独り言のように云った。
「判ったって......何がですか?」
「だから先刻のよ、乱歩さんがどうやって推理したのか」
「え? だってそれは能力を使って......」
「ああ、あなたはまだ知らなかったのね」
あのね、実は――乱歩さんは能力者じゃないのよ。予想外の事実を知らされた敦は、これ以上無いくらい愕然とした。本人は能力を使っている心算みたいなのだが、ああ見えて乱歩は、能力者揃いの探偵社では珍しい何の能力も所持しない一般人なのだ。
「でも......どうやって事件の場所を中てたんです!?」
「それなら彼が云っていたわ。偽装の為だけ遺骸に2発も撃つなんてって。でも3発撃たれてる死体を見たら誰だって"3発同時に撃たれた"って思うわ。バンバンバンで死亡」
詰まりは彼、杉本は1発目で被害者が死んだことを知っていたのだ。解剖がまだなのにそれを知っているのは、彼女を殺した張本人。犯人だけなのに。
「でも犯行時間も中ててましたよ? 昨日の早朝だって」
「遺体の損害は少なかったから川を流れたのは長くて1日よ」
194人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綺羅(プロフ) - 太宰さんは、スカートなのですか? (2017年1月3日 10時) (レス) id: ba54971924 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» いえ、改善点を見つけられたのでこちらこそありがとうございました。 (2016年7月24日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
奈江 - 確認しました。 わざわざ訂正ありがとうございます。お手数おかけしましてすいませんでした (2016年7月24日 23時) (レス) id: c67595ed82 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» 第1話だけ編集してみたのですがどうでしょうか(^^; (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» お時間取らせてしまうかもしれませんが、できる限り改善したいと思います。教えてくださりありがとうございました! (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:パティー | 作成日時:2015年11月2日 19時