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第36話 犯人の偽装工作 ページ38

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乱歩は名探偵いないねえ、困ったねえなどと箕浦を煽ったついでに、警察官の青年に対して実に興味深そうな目を向けた。

「君、名前は?」

「え? じ、自分は杉本巡査です! 殺された山際女史の後輩であります」

すると乱歩は敬礼する杉本巡査の方にそっと手を置いて、とんだ無茶ぶりを押し付けてきた。

「よし杉本君、今から君が名探偵だ! 60秒でこの事件を解決しなさい!」

「へぇッ!? へっあっえー!?」

いくら何でも60秒は早すぎである。杉本巡査が頭を真っ白にしている間、早くも10秒が経過した。あと50秒しかない。慌しく頭をフル回転させ真実に辿り着こうとする杉本巡査を見るなり敦は、普段の自分はきっとこんな感じなんだろうなあ、と他人事のように思っていた。

「そ……そうだ、山際先輩は政治家の汚職疑惑、それにマフィアの活動を追っていました!」

マフィアと云う言葉に耳を傾ける太宰。

「そういえば! マフィアの報復の手口に似た殺し方があった筈です! もしかすると先輩は捜査で対決したマフィアに殺され――」

とそこで、太宰が口を挟んで断言した。

「違うわ。マフィアの報復の手口は身分証と同じよ。細部が身分を証明する」

マフィアの手口は、まず裏切り者に敷石を噛ませて後頭部を蹴りつけ顎を破壊する。次に激痛に悶える犠牲者をひっくり返して胸に3発。勿論本物の銃弾をだ。太宰が順を追って説明していくと、嫌なものを想像したのか隣から敦のバツ悪そうな声が響いた。

「確かに正確にはそうですが……」

「この手口はマフィアに似ているけど、マフィアの仕業じゃない」

つまりは、犯人の偽装工作だ。

「そんなっ偽装の為だけに遺骸に2発も撃つなんて……非道い」

「ぶー! はい時間ぎれー! 駄目だねぇ君、名探偵の才能ないよ!」

あっはっはっはっは、と壮絶な笑いを繰り広げる乱歩の目は自信に満ち溢れているようで。

「あのなぁ貴様! 先刻から聞いていればやれ推理だやれ名探偵だなどと通俗創作の読み過ぎだ! 事件の解明は即ち地道な調査、現場検証だろうが!」

第37話 座右の銘→←第35話 第二の被害者ではなく



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綺羅(プロフ) - 太宰さんは、スカートなのですか? (2017年1月3日 10時) (レス) id: ba54971924 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» いえ、改善点を見つけられたのでこちらこそありがとうございました。 (2016年7月24日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
奈江 - 確認しました。 わざわざ訂正ありがとうございます。お手数おかけしましてすいませんでした (2016年7月24日 23時) (レス) id: c67595ed82 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» 第1話だけ編集してみたのですがどうでしょうか(^^; (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» お時間取らせてしまうかもしれませんが、できる限り改善したいと思います。教えてくださりありがとうございました! (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パティー | 作成日時:2015年11月2日 19時

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