第29話 細雪 ページ30
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武装探偵社がこの手の依頼を断る理由がないと、最初から計算していたのだろう。
『重畳、5分で向かう』
と、それだけ樋口に言い残して、芥川と云われた男は通話を切った。猶予は5分。芥川が姿を現す前に、どうにかして片をつける必要があった。
「我が主の為――ここで死んで頂きます」
樋口は、どこからともなく銃を取り出した。それを手始めに谷崎目掛けて数発放つと、無意識に耳を塞ぎたくなってしまうくらい実に嫌な音がした。
「兄様……大丈……夫?」
「ナオミッ!!」
血だらけのナオミが、ゆっくりと地面に倒れる。咄嗟に谷崎を庇ったのだ。
妹の危機を目の前に、谷崎は混乱状態に陥る。まず応急処置を行うために、敦に止血帯を持っているか確認するが、このような状況になるとは誰も想定していない。
敦は途方に暮れていた。こんな自分に一体何が出来るのか。残酷な光景を目の前にして、何もかもわからなくなってしまっていたのだ。
「医務室まで運ばないと、敦くん足持ッて」
谷崎の背後に銃が突きつけられる。
「そこまでです。貴方が戦闘要員でないことは調査済みです。健気な妹君の後を追っていただきましょうか」
「あ? チンピラ如きが」
「!」
谷崎の様子が、どこか変異した。
「ナオミを傷つけたね?」
異能力――『細雪』
すると樋口を囲むようにして、季節外れの雪が降り始める。無論、これは谷崎の能力である。
「敦くん、奥に避難するンだ」
こいつはボクが殺す。普段から誰にでも気弱で優しい態度をとる谷崎とは思えないくらい、樋口に鋭い眼差しを向けた。
一方、樋口は驚愕を目に表し、少し怯んだように見えたが、続けて攻撃を仕掛けてくる。
「!?」
弾は確かに命中している筈だ。何度も何度も、彼の身体を貫いている。
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綺羅(プロフ) - 太宰さんは、スカートなのですか? (2017年1月3日 10時) (レス) id: ba54971924 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» いえ、改善点を見つけられたのでこちらこそありがとうございました。 (2016年7月24日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
奈江 - 確認しました。 わざわざ訂正ありがとうございます。お手数おかけしましてすいませんでした (2016年7月24日 23時) (レス) id: c67595ed82 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» 第1話だけ編集してみたのですがどうでしょうか(^^; (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» お時間取らせてしまうかもしれませんが、できる限り改善したいと思います。教えてくださりありがとうございました! (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パティー | 作成日時:2015年11月2日 19時