第10話 過酷な状況 ページ11
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――これが事の始まり。怪奇ひしめくこの街で、変人揃いの探偵社で、これより始まる怪奇譚。
これが先触れ、前兆し。
中島敦――能力名『月下獣』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「助けて」
『何で?』
「死にそう」
『良かったじゃん』
「そうだけど」
『じゃあね』
「……」
皆さあ、私が死んじゃってもいいの!?
いいわけないわよね! うん! なら誰か一人くらいは助けに来ましょう? ね?
これで何回目の電話だと思って……! だめだめ、数えたら余計悲しくなるだけだわ。助けに来てくれるまで究極の微笑み――いや、それ以上に満面の笑顔で待ってるから。
――だからお願い……誰か助けて!
「そうだわ! 敦君!」
すっかり忘れていたけど、確か淳君の寝床に淳君専用の携帯電話を置いてきていたはずだ。
私は直様淳君の携帯に電話をかけた。て云うかあの子、ちゃんと携帯の使い方とか知ってるのかしら。だけどこの際どっちでもいいわよね。
『はい』
「おはよう敦君。新しい下宿寮はどう? 善く眠れた?」
『太宰さん! お陰様で……こんな大層な寮を紹介いただいて』
「それは好かった。ところで頼みがあるわ。――早く助けて死にそうなの」
場所は寮の1階付近。現状を説明すると、ドラム缶の中に身体を預けるという過酷な状況に陥っている。結構痛い。特に腹が。
「良く来たわね。早速だけど助けてちょうだい」
即急で来たばかりの敦君の顔が、徐々に引きつっていく。ドラム缶の中に身体をすっぽりと嵌め、身動き一つとれぬ人間が目の前にいるのだから、驚くのも無理はない。
何事も初めての経験が大切よ。
「え……? 何ですかこれ?」
「何だと思う?」
「朝の幻覚?」
「違う」
思わずツッコンでしまった……。
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綺羅(プロフ) - 太宰さんは、スカートなのですか? (2017年1月3日 10時) (レス) id: ba54971924 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» いえ、改善点を見つけられたのでこちらこそありがとうございました。 (2016年7月24日 23時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
奈江 - 確認しました。 わざわざ訂正ありがとうございます。お手数おかけしましてすいませんでした (2016年7月24日 23時) (レス) id: c67595ed82 (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» 第1話だけ編集してみたのですがどうでしょうか(^^; (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
パティー(プロフ) - 奈江さん» お時間取らせてしまうかもしれませんが、できる限り改善したいと思います。教えてくださりありがとうございました! (2016年7月24日 22時) (レス) id: 67fd284f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パティー | 作成日時:2015年11月2日 19時