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経験者と入部 ページ4
「はてなぁ、年をとると物忘れがひどいわ」
『チッ
で、何だよその顔』
ギョッと有り得ないものを見たとでも言いたげな顔をしている二人の方へ弓雅は顔を向ける。
「あ、いや・・・弓雅って敬語使えたんだね」
「まぁ舌打ちはしてたけど」
『ウッセ
俺だって敬語ぐらい使う』
「入部希望の女子もおるという話じゃしもはやクリアしたも同然」
「待ってください！」
満足げな顔で頷いている森岡先生に湊が声を上げる。
「俺はどこの部にも入る予定は、ありません」
「おや？どうして？」
「うちは、母が亡くなってから家事は俺がほとんどしてて・・・」
「なんと・・・」
「え、おばさん亡くなってるの？何も知らなくてごめん！」
「いや、小6の夏だから全然」
遼平が手を合わせて謝ると、逆に申し訳無さそうに言う。
「そうじゃのぉ、鳴宮くんのことは残念じゃが無理強いはいかん。3人はどうする？」
「俺はやるっす！湊がやんないのはすっげぇ悔しいけどやりたいっす！弓道！」
「竹早くんはどうじゃ？」
「ぜひ、入部させてください」
「滝川くんはどうする？」
『俺は・・・
————少し考えさせてください』
「そうか。鳴宮くんも気が変わったら見学だけでも来ておくれ。いつでも大歓迎じゃ」
「はい」
それだけ言うと、湊は足早に弓道場から出ていった。
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作者名：カル | 作成日時：2023年3月12日 22時
