交渉 ページ19
『絶対嫌だ!』
睨みながらハッキリと断る。
これ以上コイツの顔を見たら―――
「・・・そうか。でも、今日帰らなかったら二度と家に入らせないからな」
コイツ・・・
『脅しか?』
「失礼だな・・・。交渉と言ってくれ」
そう言って雅貴はフッと笑う。
人の気も知らずに・・・
『チッ』
舌打ちをしてから、今度こそ出ていった。
ムカつくが、家に帰れなくなるのは困る。
足早に帰りながら、雅貴を壁に押さえつけていた時の事を思い出し、親指に軽くキスを落とす。
『クソッ
とうの昔に諦めたってのに』
と呟き、キスを落とした親指にガリッと噛み付いた。
強く噛んだせいで血が流れてくるが、その痛みで、雅貴の事を頭から消してくれればいいのにとさえ思う。
『これ以上俺に関わるなよ・・・!我慢が、出来なくなる』
懇願するような俺の声は、曇った空に吸い込まれた。
―――――そして鳴宮、
お前は今この瞬間から俺の宿敵だ―――――
―――――絶対許さねェからな――――――
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作者名:カル | 作成日時:2023年3月12日 22時