初対面 ページ2
「うわぁぁぁぁああ!」
弓雅が答えようと口を開いたが、その前に別の声によって遮られてしまった。
そしてその声と同時に背中に重みがかかり、三人は身動きが取れなくなってしまう。肩が組まれているようだ。
「やっと見つけた!」
「ちょっ無理です!やりませんから!」
なんつー強引な勧誘なんだと弓雅はムッとして相手の姿を見たが、胸元には新入生のみが付けるよう配られた花がついていることに気付き、部活の勧誘ではないな・・・と考える。だが、顔には見覚えが全く無い。
「湊に静弥だろ!高校で再開するなんて、すげぇー嬉しい!」
「・・・?」
「・・・もしかして、遼平?山之内遼平か?」
「え!?」
「久しぶり!」
「でかくなりすぎたろ!」
「転校してから30センチ伸びたからな!」
「分からないわけだ」
遼平と湊と静弥は仲よさげに話しているが、弓雅は状況がイマイチ分からずとりあえず離れようかと思う。
「あれ、君は?」
そんな弓雅に遼平は声を掛けた。
『人に名前を聞くときはテメェから名乗れよ』
見知らぬ人に肩を組まれた挙げ句、その張本人にすっとぼけられ、思わず口調が荒くなる。
「悪い悪い。
俺は山之内遼平。よろしくな!」
『・・・滝川弓雅』
遼平は弓雅の態度も気にせず明るく応えたが、弓雅はボソッと言う。
「滝川弓雅・・・どっかで聞いたような・・・」
「新入生代表の挨拶じゃない?」
「あ、それだ!あのイケメン!
女子達の声で目が覚めたんだよ!」
「そもそも寝てたのかよ」
湊が鋭く突っ込む。
「朋あり、遠方より来たる。また、楽しからずや」
背後から聞こえてきた声に、四人が一斉に振り向く。
「トミー先生!」
「トミー?」
「そう!俺らの担任の森岡富男先生だから、トミー先生」
森岡富男・・・どこかで聞いたことがあるような・・・
他の三人は気付いていないようだが弓雅はその名前を、聞き覚えがあるような気がした。
「わしも、風舞に赴任してきた1年生じゃ。よろしく頼むのぉ。君は竹早静弥君」
「はい。」
「鳴宮湊くん、滝川弓雅くん、じゃな?」
「はい。」
『・・・』
トミー先生は4人を見まわすと背伸びして、ググっと顔を近づけた。
「実はわしは只今重要なミッションを遂行中じゃ。そのミッションをクリアするためになうな、ヤングの助けを必要としておったのじゃ。」
「なうなヤング・・・」
意味不明とでも言いたげな顔で呟いた静弥の言葉に、弓雅は心の中で激しく同意した。
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作者名:カル | 作成日時:2023年3月12日 22時