或る拳銃使いの話 ページ36
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実は言うと俺はあの裏路地で会ったのが初めてじゃあ無かったんだぜ。
いや、会ったと言うより見たが正解だな。
俺がパッショーネに入団したての頃。
当時お気に入りだったピッツァを食べに行った時、木漏れ日の下で本に読み耽る女がいた。
艶やかな黒髪を風がふわりと持ち上げそれを合図に彼女の長いまつげが持ち上がった。
そしてその視線はそのまま公園の向こうへ写り途端ぱあっと花が咲いた様に笑ったんだ。
駆け寄ってくる男を見てド肝を抜かれたぜ。
嘘だろナランチャ！？と思わず三度見しちまった。
二人はそのまま少し話し、笑いあって歩き去って行った。
嗚呼人は本当に幸せだとああ笑うのか、と思わず感心した。
嗚呼、
だからあの日写真を届けた時、人はこうも変わるのかと胸に刺さった針が滲み傷んだ。
酷く怯えた瞳がジョルノの一言で絶望に塗り変わる。
目に薄くて透明な膜が張った。
はくっと上手く息が吸えない様子だった。
出会いがあれば別れがある。
これはごく当たり前の俺達のすぐ後ろに佇む現実だ。
しかし俺達はいつだって気付かないふりをしていた。
だったら初めから出会わなければ良かったと思ってしまわぬようにってな。
けどこうも目の当たりにするとやっぱり来るものは来る。
たくさんの写真を握り締めて絞り出す様な声で彼女は礼を告げた。
墓場の位置を告げ俺達はベンチから腰を上げる。
公園から出た所で思わず振り返れば写真を抱き抱え嗚咽を零し泣き崩れる姿があった。
見るんじゃあ無かったと激しく後悔したぜ。
それ以来街で見かける度痩せ細っていくお前に俺は結構やられてたんだぜ？
特に裏路地のあの日
嗅ぎ慣れた鉄臭さに入ってみれば...お前は自✕未遂をしていやがった。
慌てて手首の止血をしてどうしてそんな事をと聞けば「一度光を見た後では闇に戻れない」なんて言いやがった。
むかっ腹が立ったぜ。
じゃあナランチャが居なくなった今与えられた光ってのはさっぱり消えちまったのかってな。
違うだろ？
出会いがあれば別れがある。
けれど同時に残る物もある筈だって怒鳴り散らした。
唇を噛み締めポロポロと涙を零す彼女を家まで送り届けその日はとりあえず戻った。
そして土曜日墓参りから帰ったジョルノは彼女と会ったらしく話してくれた。
もう大丈夫、生きていけるってな。
良かったな、ナランチャ。
お前の残した光は消えて無かったぜ。
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ぱ - ほんとに．．．ナランチャ．．．いやほんとにいい話でしたほんんとにありがとうございます．．．！！！！！ (2月20日 23時) (
レス) @page26 id: d599ec02c4 (このIDを非表示/違反報告)
食人(プロフ) - こんなに泣くとは思わなかった…すごく、素晴らしい作品です (2022年7月26日 13時) (レス) @page47 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
れい - 顔がぐちゃぐちゃになりました...本当にいいお話で、すごかったです！(語彙力なくてすみません)このような作品を読ませて頂いてありがとうございます！この作品に出会えてよかったと本当に思います...二人が本当に幸せになれるように祈ります...(長文失礼しました) (2021年7月24日 0時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
青 - 号泣しました…。目擦りすぎて睫毛ぼろぼろ抜けました。私の持ち得る限りの語彙力を総動員しても、この素敵な作品の尊さを表現し尽くすことはできないかもしれません…。本当にこの作品と出会えて良かったです。全細胞がディモールトベネ！と喜んでます…… (2021年3月22日 4時) (レス) id: fc7ac22f29 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴＠メガネ＝本体(プロフ) - イスカさん» ありがとうございます！しかも他の作品まで...！圧倒的感謝です！！これからも精進して参ります！ (2019年9月27日 22時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴鶴＠メガネ＝本体
| 作成日時：2019年6月30日 22時
