或る男の話☆fin ページ32
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「約束通り迎えに来たぜ」
窓辺に降り立ち、そう言って手を伸ばせばAは満面の笑みで手を握り返した。
年老いたAも変わらず美しかったがやっぱり俺は出会った頃のAが一番好きだ。
確かに抱き締め合う。
洗練された石鹸の匂い。
艶やかで絹のような、夜空をそのまま溶かしこんだような黒髪を撫でる。
前みたいな温もりは無いが、それでもやっぱり温かい。
そして額を合わせはにかみキスをした。
少し塩っぱい味のする、久々のキスだった。
手をしっかり繋いで窓辺から天へ歩んでいく。
もう決して離れない、離すつもりはねぇ。
どんな困難が来て俺たちを引き裂こうとしたってこの手を俺は決して離さねぇ。
俺は一瞬後ろを振り返り、そして出会った頃のAと同い歳であろう女の子に向けて笑を浮かべ人差し指を口元へ寄せた。
星月夜の落ちる空から降り立った約束は今、約80年の時を得て果たされた。
星の橋を渡り月を目指して手を握り合い歩いていく。
「あのねナランチャ、私ねいーっぱい話したい事があるの」
「俺もあるぜ!ゆっくり話していこう。
これからはもう離れねぇからよぉ!
今度こそ二人で時を刻んでいこうぜ」
勿論だと元気な返事が返ってくる。
あの日、
あの星月夜が空から落ちてきそうな夜。
俺達は出会い、想いを重ねそして少しばかりの別れを過ごした。
互いの身体が消えた今、どこへだって行ける。
何にだってなれる。
まずはどこに行きたい?
そう焦って答えをだそうとしなくてもいいぜ。
これからはずっと一緒だ。
俺はな、A。
仲間を紹介してぇんだ。
あれから一度もあっちへ戻っていないからさ、久々の再会ってやつになるんだぜ。
アバッキオも、ブチャラティもジョルノにフーゴそしてミスタとトリッシュ。
お前を皆に紹介させてくれよ。
俺の未来永劫、隣に居てくれる女性だってな!
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ぱ - ほんとに...ナランチャ...いやほんとにいい話でしたほんんとにありがとうございます...!!!!! (2月20日 23時) (レス) @page26 id: d599ec02c4 (このIDを非表示/違反報告)
食人(プロフ) - こんなに泣くとは思わなかった…すごく、素晴らしい作品です (2022年7月26日 13時) (レス) @page47 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
れい - 顔がぐちゃぐちゃになりました...本当にいいお話で、すごかったです!(語彙力なくてすみません)このような作品を読ませて頂いてありがとうございます!この作品に出会えてよかったと本当に思います...二人が本当に幸せになれるように祈ります...(長文失礼しました) (2021年7月24日 0時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
青 - 号泣しました…。目擦りすぎて睫毛ぼろぼろ抜けました。私の持ち得る限りの語彙力を総動員しても、この素敵な作品の尊さを表現し尽くすことはできないかもしれません…。本当にこの作品と出会えて良かったです。全細胞がディモールトベネ!と喜んでます…… (2021年3月22日 4時) (レス) id: fc7ac22f29 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鶴@メガネ=本体(プロフ) - イスカさん» ありがとうございます!しかも他の作品まで...!圧倒的感謝です!!これからも精進して参ります! (2019年9月27日 22時) (レス) id: 022f546ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2019年6月30日 22時