四十頁 ページ42
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目をふと覚ませば視界一面に空にはばっと銀砂をぶちまけた様な星空が飛び込んできた。
あまりの美しさに打ちひしがれ、目を見開きただただ仰向けで空を眺め続けた。
「Aちゃん」
さらりと髪の毛が掬われる感覚に顔を傾けると太宰さんの悲しげな微笑みが覗き込むように写った。
「ど、うして...」
どうして、なんで?
私はあんなにも酷い言葉を捨ててきた、なのに何故貴方は私を見捨てずこうして追ってきて、眠ってしまった私に寄り添っていてくれたの?
なんで私を見つけてしまったの?
「な、んでぇ...っ」
顔を腕で覆うようにして隠す。
しかし震えた声ばかりはどうにもならない。
睫毛の下から抑えられない感情が溢れ出る。
期待してしまうから、優しさなんていらない。
影でまた笑われるくらいなら、裏切られてしまうのならばどうか私をはじめから見捨ててしまってほしい。
「Aちゃん、ずっと言おうか迷っていた。
もしも君に迷いを与えてしまうならばとずっと、ずっと抑えていた。
好きだよ」
...
...え?
「私は、君が、好きだ」
「な、何を言って...」
「本当だ。信じられないなら何度でも言うよ。
君が好きだ、Aちゃん。
だから私は君に生きてほしい」
嗚呼...
「...ねぇ、私の思いは伝わっているかい?ちゃんと届いているかい?
だからどうか、死にたいなんて...」
「...馬鹿にしないで下さいっ!!」
期待した。
この人は「好き」だなんて言葉で私を生かそうとする。
最低だ。
「違うっ!本当に...!!」
「やめて!!もうそれ以上期待させないで!!」
「信じて!!」
「やだ!!離して!!触らな_...」
ぐっと腕を握られ、一気に引かれた。
よろけた上半身、掴まれる顎。
「ん゛っ......ん゛ん!!」
2回目のキスだった。
しかし以前とは違う、拒絶感が襲いかかる。
「ぅっ...んっ......ん゛...っ、あっ...」
角度を変えて何度も、何度も噛み付くように。
怒りが沸点へ達した私は腕を振り払いそのままフルスイングした。
バチンと強烈な音と共に唇が離れる。
ボロボロと涙が溢れ出た。
恋してたのに。
「好きだったのに......っ!!」
「!!」
刹那、はっとしたように彼は目を見開いた。
そして何か言葉を紡ごうと口を開いたが、それより先に私は立ち上がった。
熱を持った唇が震える。
「二度と、私を期待させないで...!!」
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羅尓 - 久しぶりに涙が出ました。 (2021年7月26日 12時) (レス) id: 9b89cbfb6e (このIDを非表示/違反報告)
たまり - 私も名古屋です!(誰得)お話すごく好きです。応援してます! (2018年7月25日 16時) (レス) id: 7ebfe7ebc4 (このIDを非表示/違反報告)
はねこ(プロフ) - キャラがはっきりしていてとても面白いです。シリアスなテンションの話なのに不思議とサクサク読めました。これからも頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 4e46b846c9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 名古屋の方なんですね!私も名古屋人なんですよ!←で? 凄く面白いです!頑張ってください (2017年12月28日 13時) (レス) id: 619380b1ab (このIDを非表示/違反報告)
庵(プロフ) - 読んでいて凄くワクワクしました!凄く面白かったです、早く続きが見たくて仕方ないです。更新楽しみにしてます(*'v'*) (2017年10月11日 12時) (レス) id: 80af1d3c01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2016年7月26日 22時