三十三頁 ページ35
.
「中原さん、中原さん」
「何だよ」
「ここって、ポートマフィアのビルですよね？」
「ああ」
「中原さんってポートマフィアだったんですか」
「の、幹部な」
「......え!?」
思わず大声で叫ぶと声がでけぇよと頭を軽く叩かれる。
変な声が出てしまったがこの際無視だ。
今は秋吉さんの事を知りたい。
この人は幹部、ならば、何か知ってるかもしれない。
「...あの、秋吉さん＿」
その名前を呼んだ。
瞬間、腹と背中に激しい衝撃を感じた。
口から胃液と血が入混ざったものが吐き出される。
「痛っ...!!」
「手前、何で秋吉を知ってンだ？」
咳き込む私に容赦無く彼は壁に叩き付け、肩は手が食い込むほど強く掴んだ。
「おい」
「っ...」
「秋吉が昨夜から行方不明になった」
「...」
「何か知ってンな？」
「知ら、ない...!!」
「へぇ」
途端目を細め中原さんは怪しく笑った。
どうしよう...！
「来い」
「い、嫌ｯ!!やめて、やめてやめて痛いｯ!!」
切ったばかりの髪。
太宰さんが似合ってるよと言ってくれた髪。
...痛い。やめてよ。
助けて＿＿＿＿!!
「助けて太宰さん...!!」
そんな思いも虚しく、髪を引っ張られたままビルへ入って行く。
「拷問班を呼べ」
中原さんの声がやけに冷たく聞こえた。
・
・
「太宰さん、伊藤さん知りませんか？」
「さぁ...？何時もならもう出社してるのにね」
寝坊かな、と呟くが昨夜からの胸のザワザワは消え去らない。
敦君も知らないのか...。
「伊藤さんなら昨日裏路地に入って行くの見ましたよ？」
「何だって!?」
思わず強く賢治君の肩を強く掴んだ。
が、特に嫌な顔をせず彼は続ける。
「誰かに付いていって...あっ、すみませんその人は覚えて無いんですが...」
「太宰」
国木田君が珍しく青い顔で私の名を呼ぶ。
その手には＿＿＿＿
「な、んで...それが......」
「今朝、探偵社に届けられたんだが...これ...
この野菊の髪飾りは、伊藤のだろう？」
その手には＿＿＿＿Aちゃんにあげた
『綺麗...です』
野菊の髪飾り。
そしてそれにはもう乾いてしまった血が数滴こびり付いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 490人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羅尓 - 久しぶりに涙が出ました。 (2021年7月26日 12時) (
レス) id: 9b89cbfb6e (このIDを非表示/違反報告)
たまり - 私も名古屋です！(誰得)お話すごく好きです。応援してます！ (2018年7月25日 16時) (レス) id: 7ebfe7ebc4 (このIDを非表示/違反報告)
はねこ(プロフ) - キャラがはっきりしていてとても面白いです。シリアスなテンションの話なのに不思議とサクサク読めました。これからも頑張って下さい！ (2018年3月27日 22時) (レス) id: 4e46b846c9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 名古屋の方なんですね！私も名古屋人なんですよ！←で？ 凄く面白いです！頑張ってください (2017年12月28日 13時) (レス) id: 619380b1ab (このIDを非表示/違反報告)
庵(プロフ) - 読んでいて凄くワクワクしました！凄く面白かったです、早く続きが見たくて仕方ないです。更新楽しみにしてます(*'v'*) (2017年10月11日 12時) (レス) id: 80af1d3c01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴鶴＠メガネ＝本体
| 作成日時：2016年7月26日 22時
