検索窓
今日:12 hit、昨日:28 hit、合計:309,089 hit

二十八頁 ページ30






「お見送りしましょうか...?」


「結構よ。
お見送りって言ったって車で崖から落ちるところを見るって事よ?嫌でしょ?

それに帰る確率の方が低いしね」


「そうですね...」


お会計。
自分の分を払おうとしたら秋吉さんによって止められた。
子供に払わせる程自分は貧乏じゃない、だそうだ。


「ここでお別れね」


「...」


「あっちで...」


ポンッと肩に手袋に包まれた手を置かれ顔を上げる。
彼女は穏やかに笑っていた。




「あっちの世界で待ってるから」




「!

は、はいッ!!」


それじゃあね、と手を振り去っていく。
やっぱり格好いい。


「あれ?Aちゃんじゃないか」


本日二度目の肩ポンをされ振り返る。
別にびっくりなんてして無いからッ!!


「太宰さん」


「奇遇だねぇ。ここのカフェよく来るの?」


「今日が初めてです」


そっかぁ、と彼は笑いそのカフェを指さして言った。


「お茶しない?」


「今出てきたばっかりなんですけど」


「では別のところへ行こうか」


ほら、と自然に手を差し出されたので取り敢えず叩いておいた。
ハイタッチじゃ無いよと言われたけど無視しておく。


「ここならどうだい?」


「良いですよ」


案内されたのは二人席。
中はさっきと違い暗く、大人な雰囲気だ。
...私不釣り合いな気がする。



「さて、本題に入ろう」


運ばれて来た珈琲を一口含み「苦いね」と言いながら彼は牛乳を入れくるくる回す。
珈琲は薄いココアの様な色へ変わって行った。



「単刀直入に聞くね?

Aちゃん、君は____








こ の 世 界 の 住 人 じ ゃ 無 い 。そうだろう?」



私は笑を返した。

何だ。やっぱりバレてるじゃ無いか。
私は口元に笑を湛えたまま、話を続ける。



「どうしてそう思うのですか?」


「今までに君のような子に何度も会ってきたからね」


例えば、と指おる。


「四年前、友人が死ぬ直前に現れた少年。
二年前、入社時に現れた双子。
数週間前に現れ退社した女性
そして____」


ぴっと指をさされるのは好きじゃない。
けど笑は崩さないで只その人差し指を眺める。




「敦君入社時に現れた君だ」



「...ふふ、流石太宰さん。何でもお見通しなんですね」


珈琲を飲む。
確かに苦い。
けど此処で牛乳を入れるのは何か嫌でそのまま飲み続けた。



「____それで、何が言いたいんですか?」



彼はにやりと悪戯っ子のように笑った



「帰る気はあるのかい?」

二十九頁→←二十七頁



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (285 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
490人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

羅尓 - 久しぶりに涙が出ました。 (2021年7月26日 12時) (レス) id: 9b89cbfb6e (このIDを非表示/違反報告)
たまり - 私も名古屋です!(誰得)お話すごく好きです。応援してます! (2018年7月25日 16時) (レス) id: 7ebfe7ebc4 (このIDを非表示/違反報告)
はねこ(プロフ) - キャラがはっきりしていてとても面白いです。シリアスなテンションの話なのに不思議とサクサク読めました。これからも頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 4e46b846c9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 名古屋の方なんですね!私も名古屋人なんですよ!←で?   凄く面白いです!頑張ってください (2017年12月28日 13時) (レス) id: 619380b1ab (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 読んでいて凄くワクワクしました!凄く面白かったです、早く続きが見たくて仕方ないです。更新楽しみにしてます(*'v'*) (2017年10月11日 12時) (レス) id: 80af1d3c01 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2016年7月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。