壱頁 ページ3
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自分はタダの【道具】でしか無い事に気が付いたのは1ヶ月程前だった。
学校に言ったら決して剥がれ無い、しかし脆い仮面を被り、友達とは表面上の仲。
自分は数合わせ、捨て駒だったのだ。
家族とは何も話さず、何も聞かず。
ただ、時が過ぎるだけ。
作ったご飯が美味しいと思ったことが無い。
母の味何て知らない。
本はただの現実逃避の道具だった。別に好きでもない。
けど一冊は肌身離さず持ち歩いていた。
そんな人生もこれでバイバイ、永遠にサヨナラ。
遠くから電車の音が聞こえる。車がクラクションを二三度鳴らし通り過ぎて行く。
自分はなぜ生きているのだろうか。
何の為に生きているのだろうか。
答えを待つこと数日、返却されずに無音でバイバイ。
「____...恥の多い生涯を送ってきました
____...自分には、人間の生活というものが、見当つからないのです。」
通り過ぎて行く人々が首を傾げる。または無視する。
「____...人間、失格」
橋から身を乗り出した。
通り過ぎて行く人々が驚きの声を上げる。
「もはや、自分は、完全に____...」
最後まで言えずに私は逆さまに落ちた。
キラキラと青空が光り輝く。手を伸ばせば届きそうだった。
手から薄い本が滑り落ちた。
「......人間で無くなりました。」
視界が水で覆い尽くされた。
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羅尓 - 久しぶりに涙が出ました。 (2021年7月26日 12時) (レス) id: 9b89cbfb6e (このIDを非表示/違反報告)
たまり - 私も名古屋です!(誰得)お話すごく好きです。応援してます! (2018年7月25日 16時) (レス) id: 7ebfe7ebc4 (このIDを非表示/違反報告)
はねこ(プロフ) - キャラがはっきりしていてとても面白いです。シリアスなテンションの話なのに不思議とサクサク読めました。これからも頑張って下さい! (2018年3月27日 22時) (レス) id: 4e46b846c9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - 名古屋の方なんですね!私も名古屋人なんですよ!←で? 凄く面白いです!頑張ってください (2017年12月28日 13時) (レス) id: 619380b1ab (このIDを非表示/違反報告)
庵(プロフ) - 読んでいて凄くワクワクしました!凄く面白かったです、早く続きが見たくて仕方ないです。更新楽しみにしてます(*'v'*) (2017年10月11日 12時) (レス) id: 80af1d3c01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴鶴@メガネ=本体 | 作成日時:2016年7月26日 22時